【連帯・社会像】

星英雄:国民を欺く安倍政権を退陣に追い込もう

 国民を欺きつづけた安倍政権を徹底追及しなければならない。森友学園への国有地売却に関する決裁文書に改ざんがあったことを財務省は認めたが、「なんのために改ざんしたのか」など核心部分は不明のままだ。安倍晋三夫妻と籠池泰典森友学園元理事長の極右思想による特別な結びつきが、不当な8億円もの値引き売却につながったとする疑惑はさらに強くなった。疑惑を否定してみせるために野党や国民にねつ造した公文書を提示した責任は限りなく大きい。麻生財務相、安倍首相の責任を追及しなければならない。安倍政権は、第2次安倍政権発足後、最大の危機に陥っている。

 佐川宣寿国税庁長官の辞任、近畿財務局職員の自殺は、これまでなら幕引きのパターンだが、今回はそうはいかなかった。なにしろ、主権者国民と野党の追及をかわすために、公文書が改ざんされた。その改ざんされた公文書をもとに、国権の最高機関であるはずの国会が運営され、安倍首相らが答弁した。主権者国民を欺く過去に例をみない、悪質極まりない安倍政権である。

 改ざんされた文書にはないが、財務省が公表した文書には記述されている文言を読めば、なにを国民と国会に隠さなければならなかったのか、よくわかる。とりわけ重要なのは、安倍首相夫妻に関する記述だ。

 2014年、森友学園側が次のように語ったことが記されている。「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた」。籠池理事長と安倍首相夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示されたことも書かれている。

 さらに、森友学園の教育内容として「毎朝の朝礼において、教育勅語の朗唱、国家『君が代』を斉唱」と記述がある。昭恵夫人が「森友学園を訪問した際に、学園の教育方針に感涙した」ともある。

 籠池元理事長の肩書も記述されている。「『日本会議大阪(注)代表・運営委員』を始めとする諸団体に関与」。籠池元理事長の肩書が、安倍首相との関係で重要だというのである。そのため「(日本会議国会議員懇談会)副会長に安倍晋三総理」との記述もある。

 財務省が公表した決裁文書からは、この不当な巨額値引き売却はまさに、安倍案件だったことが読み取れる。

 麻生財務大臣は会見で「佐川の答弁に合わせて書き換えた」と語ったが、そうではあるまい。

 安倍首相は早々と昨年2月17日の衆院予算委員会で「私や妻が関係していたということになれば、総理大臣も国会議員も辞める」と答弁した。

 佐川理財局長が「記録が残っていない」と答弁したのは2月24日衆院予算委員会。「適正な取引だ」と答弁したのは2月27日衆院予算委員会。安倍首相の「辞める」答弁より後のことだ。

 安倍首相の「辞める」発言があれば、財務官僚はその線に沿って対応する。安倍首相を守るためには首相夫妻の関与の痕跡を消す必要があった。そのために、佐川答弁も公文書も偽造されたとみて不思議はない。

 戦後の日本は、国民が主権者だ。それが、明治憲法下の社会と根本的に違う。日本国憲法は「日本国民は・・・ここに主権が国民に存することを宣言し、・・・」と国民主権を宣言し、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理」であると断言したのだ。

 憲法は第62条で「両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」と、国政調査権を規定している。主権者国民の「知る権利」に答える内容だ。

 公文書管理法も「国民主権の理念にのっとり」定められた。

 内閣法も第1条で「内閣は、国民主権の理念にのつとり、・・・」とうたっている。日本の政治システムは「国民主権」のうえに成り立っている。ところが安倍政権は、いったん政権につけば、国民をだますことも、なんでもできると振る舞っている。森友疑惑然り。加計疑惑も、裁量労働のデータごまかしも。

 安倍政権の支持率は下落し始めている。NHKも読売新聞も、財務省が改ざんを認める前の時点での調査だが、NHKは、安倍内閣を「支持する」は、先月より2ポイント下がって44%。「支持しない」は、4ポイント上がって38%。読売の支持率は48%、前回調査から6ポイント下落。不支持は6ポイント増え42%だった。これからさらに支持率が低下するのは間違いない。そうさせなければ。

 「水に落ちた犬は打て」と、かつて魯迅は言った。「犬」とは、改革に反対する政敵のことである。水に落ちて弱った犬が回復して逆襲に出ないとは限らない。そうさせないためにも「打て」と。いまの安倍政権はまさに「水に落ちた犬」である。追撃の手を緩めてはならない。

 ことは、国民主権を土台とする戦後日本の政治システム、議会制民主主義の破壊、主権者国民に対する犯罪なのだ。主権者国民の運動の力で安倍政権を退陣に追い込もう。

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