オスプレイの基地にもなる北部東村高江のヘリパッド建設反対運動を続けている住民に対し、国(沖縄防衛局)が「通行妨害」だとして提訴した裁判の2審判決が25日、福岡高裁那覇支部でありました。判決は住民の控訴を棄却する不当判決。遠路小さな子ども連れで駆け付けた高江住民はじめ100人を超える支援者は、不当判決に怒りを燃やし、たたかいへの決意を新たにしました。
私はこの裁判で「スラップ訴訟」という言葉を初めて知りました。スラップ訴訟とは威圧訴訟とか恫喝訴訟といわれるもの。政府や大企業など社会的「強者」が反対勢力や個人など「弱者」の活動を止めるために裁判を起こすものです。高江裁判はまさにそれです。司法を利用した反社会的行為であることは明らかで、アメリカでは多くの州で禁止されています。
しかし日本では野放しで、数年前からみられるようになったようです。高江のほかに中国電力による上関原発に反対する祝島島民や支援市民への損害賠償訴訟も典型的なスラップ訴訟です。数人を見せしめ的に被告にして市民の分断を図り、高額な賠償請求で運動全体の足を止めようとするのが特徴です。私が知らなかっただけで、高江住民と上関原発反対(カヤック隊)のメンバーはすでに2年前から交流し、団結を誓い合っていました。
この日の高裁判決はきわめて稚拙なもので、「とても判例となる価値はない」と弁護団は住民を励ましました。事実、意気消沈している人は見られませんでした。しかし、私には今回の判決が安倍内閣の誕生、改憲策動の強まりと無縁だとは思えません。日本の司法は強権国家になびくのです。国家によるスラップ訴訟がまかり通れば、国民の言論・表現の自由は抹殺され、反政府運動はことごとく弾圧されるでしょう。これはまさに全国民にかかわる憲法問題なのです。
スラップ訴訟の危険性を多くの人に広め、日本でもそれを禁止する世論、さらに法的制度を作らなければなりません。高江のたたかいはその点でも、日本の民主主義を守るたたかいの最先端です。(「私の沖縄日記」2013/06/26から転載)