【連帯・社会像】

星英雄:安倍流改憲に、大統一戦線で対抗しよう

 参院選が目前だ。安倍晋三首相は、まず参院選で自民・公明両党で過半数を制し、その後に憲法改悪に着手していく構えをみせている。それにどう対抗するのか。6月29日、「憲法の危機突破のためになにをなすべきか」という京都市でのシンポジウムに参加してきた。4月に報告した「革新は生き残れるか─新しい変革主体を考える」のPart2である。

 望田幸男・同志社大学名誉教授の報告。

 ナチスが台頭したドイツ、人々はなぜ民主主義より独裁を選んだのか。「食えない民主主義より食える独裁」という流れだった。ただ、最近の研究では、社民党を「社会ファシズム」と規定していた時期でも、社共をふくむ連合戦線をつくる動きがあちこちでおきていた。ドイツ共産党も地域に即して有効な方針を考えた。ナチスに対する危機意識が強くなったからだ。

  碓井敏正・京都橘大学名誉教授の報告。

 護憲運動と革新組織の再生のために何が求められているか。国民主権、基本的人権、平和主義を否定する自民党改憲草案には、戦後政治を否定する安倍流ナショナリズムがある。ドイツのハーバーマスのように、現行憲法の価値観を大事にする「愛国主義」が有力な戦略になるだろう。いまは憲法を課題の中心にすえることが大事、個々の組織の利害は2の次だ。革新組織は市民社会から知恵、活力を吸収できる開かれた組織への転換が必要だ。

 シンポジウムは、護憲勢力結集への期待と、共産党に対する注文が特徴的だった。議論のポイントは次のようだった。

──護憲勢力全体の前進なしに、どの左翼グループの前進もないのではないのか。

──力が弱くなっているけれども、さまざまな政党の結集を希望する。大阪黒田府政を支えたのは共産党系では、 福祉団体、公害団体などたくさんの団体。社会党は労働組合を中心に支えた。いま国政レベルでの護憲勢力の結集のために革新諸政党と市民組織が統一戦線を組む。市民組織は自主独立で、自分で考え行動する組織。9条の会とかさまざまな市民組織を全国津々浦々にごまんとつくりあげていきたい。

──政党は、市民社会組織をバックアップするネットワークの結節点のような存在でいい。

──共産党や社民党には期待できないという声、緑の党がいいという意見もあるが、疑問だ。何を主体にして 闘うのか。革新政党を中心にして革新勢力が力を貸して、それを護憲勢力に広げていかないといけない。

──共産党には大統一戦線で闘う観点で考えてほしい。リベラルや自民党の良心的な部分、宗教団体もふくめて 改憲に反対する人たち全部の力をあわせて闘わないと負けてしまう。

──護憲の広大な戦線を真剣に考えないと、行き場をなくした無党派層が右へ引きずられていく。大多数は若者層。 良心的な保守をふくめてどういう戦線をつくるかが、革新の命題だ。原発もTPPも憲法も国民的課題。従来の枠組みで考えると狭くなる。

 会場の議論は、熱く核心に迫っていた。こういう人々を日本の革新運動はつくりだしてきた。かれらの支えがあっての政党なのだと、あらためて感じた。地域や職場で活動する「普通の人々」の思いから離れて「日本の変革」はない、と思う。

星英雄:安倍流改憲に、大統一戦線で対抗しよう” への2件のコメント

  1. 主旨に同感です。総選挙、東京都議会選挙と続いた選挙でいずれも改憲勢力が勝利しています。都議選で共産党の躍進がありましたが、これとて薄氷を踏むような勝利でしたし改憲勢力対護憲勢力という視点から見ると大きく後退したものでした。現憲法では少なくとも建前としては「人民のための国家」に位置づけられている人民と国家の関係を、「国家のための人民」に180度変えてしまう憲法改悪はなんとしても阻止しなければなりません。そのためにはすべての護憲勢力が手を取り合わなければ不可能だと思います。このような声を全国から上げることが大切だと思っております。

  2. 6/29日集会でたまたま隣席にいた方に感想をお聞きしたところ「いまいちだった。会場発言者の何人かの方は共産党との関係について奥歯に物が挟まったような発言をされておられた。この種の集会は共産党との関係をどうみるのか?はっきりさせるべきだ。」と述べておられたのが印象的でした。私は6/29日京都集会や6/30神戸集会において70年代の革新自治体を生み出した住民パワーの教訓を批判的に学ぶべきだと思っています。

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