福生市民会館でおこなわれた「横田基地もいらない! 沖縄とともに声を上げよう10.12市民交流集会」に参加してきた。実行委員会が用意したマイクロバスに乗って横田基地を一周、金網越しに基地をみた。
米軍横田基地は東京の福生、武蔵村山、羽村、立川、昭島の5市と瑞穂町にまたがっている。東京・狛江市がそっくり収まる、沖縄・普天間基地より広大な米軍基地だ。在日米軍司令部と第5空軍司令部があり、東京都と近隣8県の航空管制を行い、実質1都8県の空を支配している。米軍人、軍属、家族は横田基地を経由して出入国手続きなしに日本を自由に出入りできる。ここは日本ではなく、まるで米国であるかのようだ。
ことし7月、米太平洋空軍司令官が、CV22オスプレイ配備の候補地として横田基地をあげた。5市1町の議会だけでなく、周辺の自治体の多くの議会が意見書を採択し、オスプレイ配備反対を打ち出した。住民サイドはもちろん、反対運動を強めている。
金網越しにみる横田基地はたしかに広い。基地内のはるか向こうにC130輸送機が駐機していると、ガイドに教えられないと小さくてわからない。沖縄・普天間基地を視察したことがあるが、住宅密集地に囲まれて存在する点では、横田基地も普天間基地と同じだ。横田でも米軍関係者による事件・事故が頻発している。たとえば、この8月、横田基地の米軍属に暴行されて男性が死亡した。9月には米軍兵士が信号無視の運転で女性を跳ね、重症を負わせた、等々。
横田基地がなくなれば、どれだけプラスになるか。ガイドがいった。「狛江市は人口7万人、それだけの人が暮らし税金も入ってくる」。周囲の渋滞は解消され、鉄道が敷かれ、病院も建てることができる・・・。
すでに住民は午後7時から翌朝午前7時までの離発着、エンジン作動の差し止め、被害賠償の訴訟を起こしている。オスプレイ配備を許せば、命と健康がさらに危険にさらされる。
「市民交流集会」は「オスプレイの横田基地、日本全土への配備・訓練を許さず、辺野古への新基地建設阻止のため、名護市長選挙で稲嶺再選をかちとろう」との特別決議を採択した。参加者は、横田基地周辺をデモ行進した。
「市民交流集会」の呼び物は、「東京のオキナワ 米軍横田基地」と題する前泊博盛・沖縄国際大学大学院教授の講演だ。
米軍犯罪が多発する沖縄で、なぜ米兵はきちんと裁かれないのか。なぜ日本国内で、アメリカ国内ではできない危険な超低空飛行訓練ができるのか。前泊氏は、日米地位協定の対米従属、本質的な問題を指摘した。
米軍基地が集中する沖縄で、米軍の抑止力は効いているとはいえないこと、地位協定の改定ができないことに日本の主権が侵害されていることがよくあらわれていると指摘して、「この国で見えないのは主権と抑止力だ」と強調した。
いま、オスプレイの配備をめぐって焦点の1つになっているのは、沖縄県東村の高江だ。かつてベトナム戦争時、高江には”ベトナム村”がつくられ、住民を標的にして米軍機が低空飛行訓練をした。いまはオスプレイが高江を標的にしている。
沖縄には62のヘリパッド(オスプレイの離着陸場)がある。まるで沖縄全体が標的の島だ。そして、沖縄の負担軽減を口実に日本中でオスプレイの訓練が行われるが、これは日本が標的の国になっていることだ。「なぜいま、日本の米軍機の標的にならないといけないのか。横田の人たちといっしょに考えて生きたい」と前泊教授は締めくくった。
いくつもの問題提起と切れ味のいい講演に大きな拍手がこたえた。