【特集:わたしと憲法】

藤原一也:集団的自衛権の行使について

 私は現在我が国で進行中の集団的自衛権論議に関連して、このままでは日本国憲法とりわけ、憲法9条が自民党安倍政権によって破壊されてしまうとの疑念があります。

 そもそも朝日新聞の世論調査などによっても国民の6割以上が解釈改憲に反対しています。私は団塊世代であり、今の日本国憲法のもとに生まれました。戦争をしない平和主義や独裁を許さない民主主義は第二次世界大戦などによる数々の犠牲の上に創りあげられたものと考えています。そしてこれからも日本国憲法のもとに生まれたことを喜びとして、次の世代や海外の人々にその精神を伝えていきたいと思います。

 すぐにでも何ごとかを始めなくてはと考え、東京の日比谷野外音楽堂に足を運びました。そこでは「解釈で憲法9条を壊すな!4・8大集会&デモ『集団的自衛権の行使』は海外で戦争すること」とのタイトルで集会が行われ、大江健三郎さんのスピーチが予定されていました。私は若いころから大江健三郎さんの作品を読んできたファンの一人でもあり、彼が何を語るのかとても興味深かったのです。

日比谷野外音楽堂での集会の様子(4月8日)

日比谷野外音楽堂での集会の様子(4月8日)

 大江さんの話は要約すると以下のような内容になるでしょうか?

 夏目漱石は明治時代の終わり頃に示威運動というデモンストレーションの日本語訳を作りました。当時、イギリスでは不平があると良く示威運動を行ったことを紹介しています。また、夏目漱石は今から100年前に日本はこれから難しいところに入るとの危機感を持っていました。歴史はその漱石の演説後30年を経て、戦争がはじまり、数多くの犠牲がうまれたことを教えています。そして、数多くの犠牲のうえに日本国憲法が制定されました。戦争をしない、民主主義を守るというその根本精神はこの67年間に渡り守り続けられてきました。まさに日本国憲法は自分が生きた時代の精神なのです。

 しかし、この時代の精神は、今、最も危ないところに来てしまいました。民主主義的な手続きも経ずにぶっ壊されようとしています。集団的自衛権が認められるとの解釈改憲は我が国がアジアにそして世界で戦争を行うことが出来る国になるということです。それに抗してこれから少なくとも15年や20年は次の世代のために日本国憲法を守る必要があるのです。そのために私たちは夏目漱石が示威運動と訳した手法で、この最も大事なそして難しい仕事を始めましょうと呼びかけました。

銀座をデモ行進中(4月8日)

銀座をデモ行進中(4月8日)

 私はこの79歳のノーベル賞作家の呼びかけに心から共感しました。そしてこれまで以上に日本国憲法の戦争をしない、民主主義を守るとの精神を次の世代に引き継いで行かなくてはと決意しました。安倍政権による解釈改憲には絶対反対です。

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