【連帯・社会像】

吉田万三:介護専門学校の現場から

 本年4月から私は「千住介護福祉専門学校」の校長に就任した。2025年には日本は高齢化のピークを迎えるといわれており、政府の発表でも介護職員を今よりも100万人増やす必要があるとのことである。本校が養成校になっている国家資格の「介護福祉士」を中心として介護職員の養成は喫緊の課題である。2025年といえばそんなに先の話ではない、あと10年である。年間約10万人くらいの養成が必要な計算になる。

 ところで校長になって最初に聞いた話が、今年は募集した40人定員で23人しか入学者がいないとのこと。昨年までは定員がいつも埋まっていたのが、今年は様変わりで、本校だけでなく他の養成校もほとんど定員割れだそうだ。DSC01365

 定員40人の内、約半数は東京都の委託事業として受け入れる職業訓練生である。学費は基本的には東京都から支払われるので、若干の実収費等を除けば学費免除同様であり、その他の奨学生支援制度もある。ハローワークに行ってこの制度を知り入学した学生もいる。

 しかし定員割れである。ハローワークも最近はガラガラだそうで、どうも土木・建設関係を中心に人手が流れているらしい。地方からは東京はちょっとしたバブル状態に見えているそうだ。

 アベノミクスだ、東京オリンピックだと浮かれているが、何一つ目新しいことはない。一昔前の公共事業バラマキの繰り返しで、結局祭りの後に残されるのは、庶民の肩にズッシリ重たい巨大なスタジアムと巨大な借金である。

 多くの介護職員がやりがいを感じて働いている反面で、仕事がハードなわりに賃金が低く、長く続けられないと離職する人も多い。  希望を抱いて巣立っていく学生のためにも、日本の将来のためにも、医療・介護の充実を求めて頑張らなくては、と思っている。 (中央社会保障推進協議会「社会保障」誌(隔月刊)から転載)

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