「闇があるから、光がある」とは、小林多喜二の言葉。
震災の傷は未だ癒えず、戦後もっとも戦争に近づいた今、まさにそんな闇の中、ひっそりと文芸雑誌「星灯」を創刊しました。
雑誌の名前は、中国の古典『書経』の「星火燎原」からとったものです。今は星のような小さな火でも、いつかは草原を焼き尽くす。そんな思いが込められています。 たとえほのかな光でも、決してぶれない星の灯り、それを目指しての船出です。
我々は、言葉の力を信じています。ところが、大きな理想を掲げ、わかりやすく、率直で、正しい「政治の言葉」が相手の心に届かないことを何度も経験してきました。
光と闇の間を行きつ戻りつ、やがて、心に闇を抱えつつも、ようやく光を求めて一歩踏み出す。そんなときに生まれる言葉は、頼りないようで、曖昧で、それでも読者の心の奥に突き刺さることがあります。これぞ、矛盾を突き抜け歓喜に至る文学の力。
今さらながら、「言葉は剣よりも強し」。我々は言葉を武器にたたかい続けるしかないのです。
小説は三編、社会派断捨離シングルファーザー小説、被爆体験者である認知症の祖父に寄り添う引きこもりニートの叫び、非正規労働者が正規職員中心の組合の真ん中で求める連帯。
そのほか、現役作家に肉薄するインタビュー、加藤周一に等身大で挑む私論、多喜二と小津安二郎の意外な接点を探る映画評論、ハンセン病の闘士にして詩人の谺雄二追悼特集など……持てる武器は使い切っての勝負作品群です。
一人でも多くの方に、この『星灯』を手に取り、ページを手繰っていただき、共にこの星の灯りを点し続けていきたいと切に願っています。
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