衆議院選挙についての今朝の各紙の報道では、自民党が300議席を獲得する勢いだという。自民・公明で改憲発議に必要な3分の2議席の獲得も予想されている。安倍・自公政権に今後の4年を任せると、憲法改定問題が浮上してくるようになる。自公政権に「ノー」の審判を下さないといけない。
この選挙には、日本のあり方、日本の進路がかかっているといって過言ではない。すでに安倍政権はこの2年間で、消費増税8%、TPP交渉、原発再稼働、特定秘密保護法、国家安全保障会議、武器輸出三原則の撤廃を実現し、さらに解釈改憲で集団的自衛権行使を容認する閣議決定をした。
アベノミクスや原発再稼働などもあるが、とりわけ解釈改憲で集団的自衛権を行使する問題だ。これまで、歴代政権が憲法上できないといってきた集団的自衛権を、安倍首相の独断で行使できるようにする。戦後日本の歩みとあり方を根本から転換するものだ。
日本が直接攻撃されていないのに、米国といっしょに戦争できるようにするのが集団的自衛権だ。集団的自衛権の行使を認める7月1日の閣議決定は、日米両政府が発表した「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)見直しに向けた中間報告」(10月)により具体的に示されている。「日本に対する武力攻撃を伴わないときでも、日本の平和と安全を確保するために迅速で力強い対応が必要となる場合もある」として、集団的自衛権行使の例が並んでいる。
◎ 情報収集 、警戒監視及び偵察◎ 施設・区域の使用◎ 後方支援◎ 装備品等の防護◎ 防空及びミサイル防衛◎ 施設・区域の防護◎ 捜索・救難◎ 海洋安全保障など12項目が列挙されている。しかも、「これに限定されない」との断りもある。
これらはすべて、日本の領域外を想定している。日本の領域内で武力攻撃された場合なら、「個別的自衛権」で対応できるが、「日本に対する武力攻撃を伴わないとき」でも「集団的自衛権」で対応する例である。たとえば「施設・区域の防護」は、日本の領域外にある米軍基地が想定されていて、それらが攻撃された場合、日本の自衛隊が「防護」するという。地理的制約を取り払った、地球規模の日米軍事同盟の姿が現れている。まさに、大転換なのだ。
「限定的」「歯止めがかかった」という言説も広がっている。しかし、「新3要件を満たす場合には、他国の領海内における武力行使に当たる機雷掃海であっても許容される」と、岸田文雄外相は国会審議で答弁した。他国領域での武力行使はあり得るといったのだ。
解釈改憲の閣議決定も首相の勝手な判断によるものだったが、実際に自衛隊がどんな行動をするかは、これからの、その時々の首相の判断にゆだねられる。総選挙後、安倍政権は解釈改憲に基づいて、これまでできなかった自衛隊の行動を可能にする法律改正、あるいは新法制定に手を付ける。
アメリカに従って、海外での武力行使・戦争に進むのを許すのか、他国との関係、アジア・世界との関係を軍事力で律するような国にするのを認めるのか。主権者として、この総選挙できちんと意思表示をしたいと思う。