私は、辺野古をめぐる事態は決して楽観すべき状況にはないと思います。安倍政権が強権的に翁長知事を屈服させようとしているからです。しかし、そうはならないと思います。
安倍政権は沖縄問題にどう取り組めばいいか、考えているはずです。中谷防衛大臣もしょっ中沖縄にきているし、沖縄とかかわりを持った人たちもいるから、沖縄県民の心情や沖縄の動きもよくわかっていると思います。
そして安倍政権は、どうすれば辺野古埋め立てを進めながら、沖縄をうまく押さえることができるか。そのためには、翁長知事にになんとか頭を下げさせなければならん、と思っているはずです。
安倍首相も菅官房長官も沖縄の問題を軽く扱っている。自分たちの思い通りにやって、沖縄の知事をへし曲げてやろうという、権力者の思い上がりがあると思います。しかし、日米安保が大事なら、いずれ必ず政府のほうから沖縄県庁に来ます。翁長知事はそのとき県庁で彼らを迎えればいいんです。
翁長知事は決して政府に頭を下げません。政府は勘違いしていると思います。
私は翁長さんにいいました。あなたは政府に物乞いするわけじゃない、沖縄県民のためにカネをくれという要求をする必要はない。沖縄は日米安全保障条約の大きな役割をこれまで背負ってきたし、政府はこれからも背負わせようとしている。お願いごとがあるのは東京・官邸ではないか。
だから、政府は子供じみたいじめをするのではなくて、沖縄に道理を尽くすのは当然です。
橋本政権の梶山官房長官以降は、就任すると必ず嘉手納町に来たものです。私は梶山官房長官にいいました。外務大臣、官房長官らは就任すると沖縄に来ることは来る。しかし、那覇空港に降り立つとそこからヘリコプターに乗って嘉手納基地の上空を回ってすぐ東京に帰る。誰1人、嘉手納町に来た者はいない。上空から見ただけで何がわかりますか。
共産党の不破委員長や志位書記局長(当時)は嘉手納に来ますよといったら、梶山官房長官はびっくりして、よしわかった、すぐいく、となりました。
安倍政権は、アメリカの考えもわかっていないのではないか。アメリカは基地の安定的運用は、地域の協力がないとできないことを知っています。
私は、首長と基地反対運動をする人はそれぞれの役割と立場があると思っています。基地をなくしたくて反対運動する人は自分たちの哲学と理念で大いに行動すればよい。しかし、首長は政府と交渉しなければなりません。交渉能力が必要です。
翁長さんは那覇市長を14年間やっており、交渉能力も県民の思いを伝える能力も十分にあります。問題は政府が県民の思いを簡単に考えていることです。しかし沖縄県民の思いは、選挙の結果に如実にあらわれているように、そんな簡単なものではありません。
県民はアイデンティティーに根差したもの、建白書の思いを大義名分にして行動しています。県民の総意が建白書として1つにまとまった以上、県民がひっくり返って「辺野古はよろしい」とはなりません。後に戻ることはあり得ないのです。そのことを安倍政権は理解するべきだと思います。
建白書は当時、41市町村長全員が署名し、41市町村議会が決議したものです。保守も革新も関係なく、県民が1つになる大きな原理だと思います。ですから、政府の意向がどうあれ、沖縄県民は息の長い闘いをすると思います。
深い思いも、時がたつと風化するかもしれません。しかし、沖縄の思いは持続すると思います。たとえば、県議会の後輩議員たちは建白書の実現のために、一生懸命やっています。彼らは勉強してますよ。
私が共同代表を務める島ぐるみ会議(「沖縄『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」) も、盛んです。理由は、圧倒的な県民に支えられているからです。那覇市、沖縄市から バスが出て、辺野古に座り込みにいっています。みんな貧しいのに、1000円のバス代を払って、自分自身の意志で基地を阻止しようとする勢は衰えません。
安倍首相や菅官房長官が沖縄県民の新基地建設反対をそらすために「普天間の5年以内の運用停止」をいい、仲井真前知事は選挙戦でそう主張しましたが、県民はだまされませんでした。そもそもアメリカ政府はそんな約束をしていないし、できるはずもないことを首相らはいってきたのです。発言の責任をもつべきですし、沖縄選出の国会議員は追求すべきだ。
辺野古に基地ができたら北部はうまくいくのか。そんなことはありません。辺野古は街のど真ん中ではないから、宜野湾市に比べれば被害は少ないかもしれません。しかし、人の命はそういうものではないでしょう。100名死のうが1人死のうが、命の値打ちはみな同じです。宜野湾市は危なくて、辺野古はそうではないという、いいかげんなものではない。国家の政策としては、一切同じ条件で、基地、飛行場の設置はやらなければならない。安倍政権にはその責任と義務があるはずです。
私が嘉手納町長のときは嘉手納基地のことだけで精いっぱい。他の地域のことを思うゆとりはありませんでした。辺野古移設をどう思うかと聞かれても、自分たちが嘉手納基地を抱えていたので、簡単ではなかった。しかし、辺野古に持っていけという無責任なことは言えません。名護市民が反対だと言っているので、私も反対だとしか言えませんでした。しかし今は建白書が県民の大義です。私も正面から辺野古新基地建設に反対することができます。そして沖縄の誇りある豊かさを実現していきたいと考えています。
日本はどうあるべきかという大義が立つならば、全国民を奮い立たせることは可能だと私は考えます。第2次世界大戦で叩きのめされた日本がこれだけ復興できました。敗戦から立ち上がらなければいけないという共通の思いがあったからです。自分の正義だけでなく、客観的道理をつくせば、日本国民に沖縄の思いは通じると思います。
基地がいつまでもあっていいはずはありません。基地が未来永劫にあるはずもない。必ず、日本と世界は動くはずだという期待を持っています。
【政府の振興策で嘉手納町の活性化を図ろうと、5期20年町長を務めた宮城さんは沖縄保守政治家の代表格だ。嘉手納基地の全面返還も求めた。翁長知事の後援会長を務め、島ぐるみ会議の共同代表として辺野古新基地建設に反対する。そんな宮城さんの思いに耳を傾けた。「辺野古の動きにぜひ注目しておいてください」といわれた。もちろんです。星英雄】
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《大会スローガン》島ぐるみ会議嘉手納 一.「建白書」を実現し、すべてのオスプレイ配備を断固阻止しよう
「建白書」実現、オスプレイ配備断固阻止、沖縄の未来を拓く嘉手納町民会議)結成総会に参加しました
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いよいよ嘉手納町民が立ち上がります!!!