【連帯・社会像】

星英雄:沖縄にならえば脱原発は実現可能だ

 2011年3月11日の東日本大震災発生から4年が過ぎた。避難者は今も23万人にのぼり、 東京電力福島第1原発事故による避難者は12万人にのぼる。帰りたくても帰れない、故郷を失った思いはいかばかりだろうか。

 東日本大震災発生直後の日本のなかで、すさまじいばかりの大震災の被害のなかで、多くの人々は「これまでのような日本社会でいいのだろうか」と、社会のあり方を考えはじめていたように思う。とりわけ、東京電力による原発事故の意味について。

 故郷を追われ、家族を引き裂かれ、目に見えない放射能の恐怖にさらされている現実は、原発と人間は共存できないの思いに至らせた。

 首相官邸前で、全国各地で、原発推進政治への市民の抗議活動が広がった。老いも若きも、男性も女性も、職業や地位や、政治的立場に関係なく、市民の運動として広がった。それは「新しい社会運動」ともいわれた。

 いまはどうだろう。官邸前や各地でいまも原発に異議申し立てを続けている皆さんには敬意を表したい。しかし、初期のころの勢いは薄れてきているのも確かだと思う。

 3・11後、3回の国政選挙があった。2012年12月衆院選で自民党は政権に復帰した。2013年7月参院選、2014年12月衆院選でも自民党は大量の議席を獲得した。「1強体制」と評される政権基盤の上で、安倍政権は憲法解釈変更による集団的自衛権行使、特定秘密保護法の実施、沖縄・辺野古新基地建設の強行などを推進している。

 原発問題では、再稼働反対、脱原発は国民世論の多数派だ。しかし、安倍政権の下で東京電力は無責任にも温存され、再稼働と輸出を進める旧来の原発依存路線に回帰した。安倍首相は「状況はコントロールされている」とうそぶくが、汚染水も核燃料も制御不能で、収束にはほど遠いのが現実だ。多くの人々にとって「こんなはずではなかった」との思いがあるのではないか。

 日本を見渡して、安倍政権に対抗できているのは唯一沖縄だ。基地の押し付けに対抗するためには、弱者が団結しないといけないと沖縄の人々はいう。それが「オール沖縄」だ。

 原発は命の問題だ。大惨事の悲しみを共有する多くの人々は、いまも脱原発を通して「日本社会のあり方」を考えているに違いない。問題は、「オールジャパン」をつくれない政党・政治の側にあるだろう。東京電力福島第1原発事故から4年。くみ取るべき最大の教訓がここにあると思う。

星英雄:沖縄にならえば脱原発は実現可能だ” への1件のコメント

  1. 「オール沖縄」から「オールニッポン」へ。これが昨冬総選挙の結果を見ての第一感であった。が、その立役者だった日本共産党は“全党の躍進”を第一義としたように思う。政党の立場としてはそうだとしても、今、沖縄県民、日本国民が願っている安倍暴走政権打倒による、沖縄に新基地は許さない、憲法9条を守り抜く、原発ゼロなど新生ニッポンへの道筋をひらくキーポイントは、元自民党幹部を共産党が推すことを含む沖縄県知事選と沖縄全小選挙区におけるオール沖縄の完勝だったと確信する。自公政権が強者だとは思わない。最悪の小選挙区制のもとでも国民が団結すれば連合政権を実現できるのだ! この歴史的チャンスを逃してはならない。

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