【福島・沖縄からの通信】

籐本幸久・影山あさ子:辺野古を撮り続けて

 新基地建設に反対する人々の辺野古の海と陸での闘いを記録した「圧殺の海」が好評だ。沖縄の闘いへの関心と共感を全国に広げてきた。「圧殺の海」の共同監督、籐本幸久・影山あさ子のお2人のメッセージを紹介します。

「辺野古を撮り続けて」

私たちが辺野古を撮り続けて、10年になる。この間、「Marines GO Home」と「ラブ沖縄」という2本のドキュメンタリーを世に送り出した。

2014年7月1日、辺野古の新基地建設が着工された。

沖縄県民は、何度、NOの声をあげたことだろう。あらゆるデモクラシーの手段を尽くして。しかし、ついにその声を日米政府がかえりみることはなかった。

警察・機動隊、海上保安庁を前面に立てて、反対する人たちを力ずくで抑え込みながら、工事をすすめる日本政府。巡視船やゴムボート、特殊警備艇、警戒船など、最大80隻にもなる船が、辺野古の海を埋め尽くす。おじぃやおばぁたちは、「まるで、沖縄戦当時のよう」と言う。圧殺の海・アンコール上映

海底の調査を地上の作業で代替するというインチキなボーリング調査。海に勝手な制限ラインを設定し、報道機関の船も遠ざけ、連日、幾人ものカヌー隊員を拘束し、排除を続ける「海猿」海上保安官たち。ゲート前でも機動隊は、報道機関も排除し、怪我人を出すほどに猛り狂う。

しかし、たたかいは続いている。炎天下の日中も、台風前の雨の中も、ゲート前に座り続ける人びと。両手を広げて工事用のトラックの前に立つおじぃやおばあたち。カヌーに乗り、体一つで海へこぎ出す人びと。屈しない人たちがいる。8月23日には3600人、9月20日には5500人。辺野古に集まる県民も日増しに増えている。

ブイがおかれ、立入禁止と書かれたフロート(浮具)で仕切られ、真黒なゴムボートが浮かぶ物々しいキャンプ・シュワブ沿岸。彼らのゴムボートが走り回る真下に、ジュゴンが海草を食む藻揚がある。日本人同士の衝突をよそに、キャンプ・シュワブの浜では米海兵隊の水陸両用戦車が走り回り、フロートの近くで、海兵隊員たちはシュノーケリングに興じている。

2014年11月16日、沖縄の人たちは、新基地建設NOを掲げる翁長雄志氏を県知事に選んだ。日本政府は、またしても、沖縄の民意を圧殺しようとするのか。あるいはそうさせないのか。

ここに造られようとしているのは、普天闘基地の代替施設、ではない。耐用年数200年、オスプレイ100機、揚陸強襲艦が運用可能な最新鋭の基地だ。

この海は、誰のものなのか。

安倍政権が目指す「戦争する国」づくりの最前線・辺野古。私たちは、今日も、そのど真ん中で、カメラを回し続けている。中央メディアが取材に来ない沖縄、地元メディアも排除される辺野古。周到に準備された「無関心の壁」に一穴を穿ちたい。私たちの未来の行方が、封じられ、圧殺される前に。(ドキュメンタリー「圧殺の海」共同監督)

「圧殺の海」上映予定

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