【特集:わたしと憲法】

星英雄:護憲の共同がどこまで進むか、これからに注目したい

 憲法記念日に横浜・臨港パークで開かれた「平和といのちと人権を! 5・3憲法集会~戦争・原発・貧困・差別を許さない~」に参加してきた。安倍内閣による改憲の動きに対して、危機感を募らせた護憲勢力の統一集会ということだった。

 私が会場に着いた午後1時ころは、すでに人でいっぱいだった。「日本消費者連盟」「都高教」「TPPに反対・・」「日本映画・・」「世田谷区職労」「戦争立法許さない」・・・。実にさまざまな幟と人がいて、広い裾野に支えられた集会であることがわかる。およそ3万人が参加したという(主催者発表)。

 臨港パークは横浜港に面し、背後には横浜ランドマークタワーなど巨大なビル群がそびえる。大都市横浜のオアシスといわれる公園だ。IMG_7999

 美空ひばりの反戦歌「一本の鉛筆」が、他の女性歌手の歌声で流れてきた。

 呼びかけ人のスピーチがはじまった。雨宮処凛、大江健三郎、澤地久枝、樋口陽一、香山リカ、落合恵子のみなさんだ。憲法9条を守ることの大切さ、安倍内閣の改憲策動、日本の国会に提出していない「戦争法案」の成立を米議会の演説で約束してきたことを批判するなど、どれも説得力のある話だった。

 しかし、護憲諸勢力の共同を訴えたのが作家の澤地さんだけだったのは、物足りない。澤地さんは、「いまはやられっぱなしのようだが、まだやることがある。安倍内閣に反対し、憲法を守ろうという気持ちで一致する人が1つになれば、さらに大きな力になる」と語りかけた。

 民主党、共産党、社民党、生活の党の代表も訴えた。民主党には「しっかりしろ」のヤジも飛んだが、主催者が民主党を招いたところに、護憲勢力の危機感があらわれていると思う。

 注目すべきは、社民党の吉田忠智党首の発言だった。「来年の参院選は、平和憲法を守る1点で共闘して戦おうじゃありませんか」。今後どのような政治行動が展開されるか、期待して見守りたい。IMG_7982

 沖縄の高里鈴代・島ぐるみ会議共同代表は、座り込みなど辺野古・沖縄の新基地反対闘争について報告し、沖縄の民意を無視して辺野古新基地建設をアメリカに約束してきた安倍首相を認めるわけにはいかないと訴えた。

 憲法問題について、こう話した。沖縄は憲法9条のある日本への復帰を望んできたにもかかわらず、(米軍基地の存在で)あたかも憲法がないかのような状態に置かれつづけてきた。

 いま沖縄は一塊になって、島ぐるみ、オール沖縄。沖縄の歴史は差別されてきた歴史だ。平和憲法がしっかり生きるようにと願って辺野古の闘いがつづいているのだから、憲法が危ういと思うわたしたちは、憲法を維持していくためにも辺野古の新基地建設を認めさせてはいけない。全国民みんなの力で。

 護憲勢力vs改憲勢力の闘いは、新たな段階に入りつつあると思う。それぞれが安倍政権の改憲の動きを批判し、護憲の意義を国民に訴えるだけの段階は過ぎつつある。辺野古新基地建設阻止と憲法9条を守ることも結びついた。どうすれば安倍政権の改憲策動を阻止できるか。澤地、吉田、高里氏の発言が、国政レベルでの「国民的共同」に結びつくことを願う。

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