私は昨年秋に結成された「生協だれでも9条ネットワーク」の仲間十数名とともに「平和といのちと人権を!5・3憲法集会」に参加しました。戦後70年目の憲法記念日に、快晴のもと横浜臨港パークには3万人の人々が結集しました。ここで感じた高揚感は参加者にとって心地良いものでした。
私は埼玉県在住です。地元や東京の日比谷野音や国会周辺の集会やパレードに足を運ぶことが多いのですが、今年の憲法記念日はネットワークの皆さんと事前に打ち合わせて神奈川県まで足を延ばしました。
臨港パークの会場に座って集会の開始を待つ間に、私は地元の映像作家から取材を受けました。何故ここに来ているのかと問われたので「米国議会での安倍首相の今秋までの安保法制整備発言は許せない。安保法制(戦争法制)の国会論議はいまだなされておらず、我々主権者への説明も全く不十分だ。日本国憲法を踏みにじる内容だ。安倍首相に強く抗議します。」と応じました。
集会が始まり、雨宮処凛さん、大江健三郎さん、澤地久枝さん、樋口陽一さん、落合恵子さん、香山リカさんらが演壇からスピーチしました。政党代表として民主党、共産党、社民党、生活の党から連帯挨拶があり、沖縄、基地・軍隊を許さない行動する女たちの会共同代表の高里鈴代さんからの報告、集会の終盤にはリレートークがありました。
そのなかで私は大江健三郎さんの発言に注目しました。80歳になる大江さんは安倍首相を「アベ」と呼び捨すてにした場面がありました。彼は自らにあてたドイツの作家、故ギュンターグラスさんが応じた最後のインタビューの紹介を通じて、世界大戦(核兵器による最終戦争)への危機感を吐露しました。
そのあとに安倍首相が行った米国での議会演説にふれ、「アベ」のあまりにも露骨な嘘に塗り固めた内容を指摘しました。集団的自衛権を行使して米国とともに世界中の戦争に乗り出していく、それを積極的平和主義と名付けて世界の国々に宣伝しているが、日本の議会での承諾は一度も受けてないと話しながら「アベ」と何回も呼び捨てていました。私はこのノーベル賞作家の怒りを強く感じ取りました。
そして大江健三郎さんはこうした集会で声を張り上げるのは、最後になるかも知れないと語りながら、5・3憲法集会のアピールを読み上げ、その意義を強調しました。
私たちは『平和』と『いのちの尊厳』を基本に、日本国憲法を守り、生かします
集団的自衛権行使に反対し、戦争のためのすべての法制度に反対します
脱原発社会を求めます
平等な社会を希求し、貧困・格差の是正を求めます
人権をまもり、差別を許さず、多文化共生の社会を求めます
私たちは、これらの実現に向けて、全力でとりくみます
いま、憲法は戦後最大の危機の中にあります
全国に、そして全ての国々に、連帯の輪を広げて、ともにがんばりましょう
私はこのような日本国憲法への危機感が、例年の憲法集会とは異なり、3万人規模の参加者へと膨れ上がった理由だと考えています。引き続き、「生協だれでも9条ネットワーク」の仲間と行動をともにできたことを手掛かりに、今後も連帯の輪を広げて行きたいと思います。