【連帯・社会像】

星英雄:沖縄は劣等感を自信に鍛え上げたが政府はそれを理解していない

 「辺野古新基地建設ノー」の沖縄県民の総意を示す県民大会が17日、県都那覇市で開かれた。「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」が公式名称だ。「辺野古新基地ノー」「われわれは屈しない」という3万5000人のシュプレヒコールが響き渡った。

 沖縄県民の思いと、安倍首相の思惑が交わらないとすれば、闘うしかない。平良朝敬共同代表は安倍首相と沖縄県民の「原点と歴史認識の違い」を訴えた。安倍首相らは19年前の普天間返還の日米合意が原点というが、われわれ沖縄県民は、さまざまな出来事のはじまりとなった70年前(沖縄戦と米軍占領)が原点。この原点と歴史認識の違いは広がることはあっても、狭まることはないと語った。

 呉屋守将・辺野古基金共同代表は、総額2億1000万円余、1万6000件の善意が寄せられ、その7割り近くが本土からだ。「辺野古新基地建設をオールジャパンの力で食い止めよう」

 翁長知事も力強く訴えた。「県の有するあらゆる手法を用いて辺野古に新基地は造らせない」「辺野古新基地を阻止することが、普天間基地を解決する唯一の政策だ」

 県民大会共同代表の芥川賞作家・大城立裕氏が体調不良ということで欠席したのは残念だ。だが、大城氏の思いは沖縄タイムス5月12日付1面トップで語られている。

「これまで沖縄は、押さえつけられれば折れて引っ込むという歴史だった。政府はそれをまだ信じ込み、強硬姿勢で沖縄がつぶれると思い込んでいるが、現在の沖縄はこれまでの古い体質ではない。『琉球処分』から130年余りをかけて、劣等感を自信に鍛え上げてきた。今日の沖縄のアイデンティティー、自己決定権を求める心の強さを政府はまだ理解できておらず、従来通りの姿勢で向き合うのは間違いだ」

 とりわけ戦後の沖縄の歴史は、米軍基地抜きには語れない。「国体護持」の捨て石とされ、4人に1人が亡くなった沖縄戦の後に、県民を待ち受けていたのは、米軍による過酷な占領支配、米軍基地だった。日本が形式的に主権を回復したサンフランシスコ条約で沖縄は切り離され、憲法9条を待望した復帰後も、米軍基地は沖縄に集中し続け、命を脅かし、人権を踏みにじった。

 基地に直面する生活・長い歴史の中で沖縄県民は1人1人が自らの意志を形成してきた。その総和が「辺野古新基地建設ノー」なのだ。

 辺野古新基地建設ノーの沖縄の声は日本国内で静かに浸透しつつある。朝日、毎日などの世論調査でも、半数以上が安倍政権の新基地建設に反対だ。原発被害に苦しむ福島で、市民らが「沖縄・福島連帯する郡山の会」を立ち上げた。

 県知事選、名護市長選、衆院総選挙にあらわれた辺野古新基地建設ノーの民意、そして本日の県民大会。日米両政府に対する沖縄県民の痛切な叫び、不屈の民意の表明だ。

 安倍政権がこの沖縄の声を受け入れずして、どうする。オバマ政権が沖縄の声に耳を傾けないでどうする。「民主主義」を口にする資格はない。

 大会決議は、日米両政府に対して沖縄県民が「新基地建設を断念させるまで闘う」ことを宣言した。 (全村避難をつづける福島・飯舘村の仮設住宅を取材した日に、中継録画を見て)

 

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