戦争法(安保関連法)と安倍政権に反対する市民の運動は、法案の採決強行後も、全国各地でつづいています。北海道旭川市では、若者が主催して初めてのデモがおこなわれました。中心メンバーの1人、山岸孝輝さん(27)に聞きました。〈文責・星英雄〉
ぼくたち若者のグループA.F.M.A.(ANTI-FASCISM MOVEMENT IN ASAHIKAWA=旭川民主主義・反ファシズム行動集団)が呼びかけて、法案強行採決直後の9月19日午後から、「戦争法案に反対する怒りの緊急サウンドドラムデモ」をやりました。400人が戦争法案強行採決に反対してこの日の行動に参加しましたが、旭川で若者たちが中心になってこれだけの人がデモをするなんて画期的なことだと思います。今やらなければという思い、1人1人の思いがデモになりました。
ドラムに合わせ、コールしながら、デモ行進しました。
「戦争法制 絶対反対」 「違憲の法律 撤回させよう」
「内閣もろとも白紙に戻そう」 「賛成議員を落選させよう」
飛び入りで参加してくれた人や、隊列には加わらなかったけど、ぼくたちのデモと一緒に歩いてくれた人もいました。
「民主主義ってなんだ」「これだ」というコールもしました。主権者として、こうやってデモをすることが、民主主義だという思いからです。
安倍政権や戦争法の審議のプロセスをずっとみてきて、政権・与党には民意をくみ取るつもりは少しもなかったことがはっきりした。あれだけ、国民1人1人が声をあげたのに。民主主義、立憲主義に反することを許してはいけないと思います。
国会で自民党・公明党などの多数で成立させたといっても、憲法違反の法律であることに変わりはありません。どんなに審議してもあらが出てくるばかりでした。適当なことをいって、曖昧にしていることがたくさんあって、それだけでアウトですね。
安保法制が成立してもなお過半数の国民が反対しているし、議論が尽くされていないという国民は圧倒的に多い。それを採決強行したのですから、だめですね。
参議院の審議では特にそうだったと思いますが、反対意見が暴力的に封じ込められてしまったと思います。公聴会もたんなるアリバイ作りでした。横浜の公聴会をツイッターで見ていましたが、与党はその足で強行採決へと進んだ。ちゃんと採決されたかどうかさえ、はっきりしないありさまです。
ぼくらが一番大事に思っていることは、議論のプロセスです。ところが安倍政権は、主権者国民の声に耳を傾ける気はまるでない。国民不在の独裁じゃないですか。ふざけんじゃないよ!
戦争法は人間の生き死にがかかっています。
旭川の陸上自衛隊はイラク戦争のときには真っ先に派遣され、市民はロータリーに黄色いハンカチを結んで見送りました。こんどはより危険な任務になるので、帰ってこれないかもしれません。ぼくは自衛隊に、旭橋を渡って海外の戦争に行ってほしくないと強く思っています。
この夏にA.F.M.A.をつくったのは、戦争法制と安倍政権を終わらせるためなのです。慎重審議を求める声や憲法違反の法案だという批判も強いのに、安倍政権はそれらを無視して進めようとしていることに、危機感を持ちました。自衛隊員のリスクが高まることも説明されないし、とても不安で納得ができなかったからです。旭川の9条の会のブログなどで知り合った、十鳥康佑さんや瀬尾雅博さん(仮名)とはじめました。
2013年の特定秘密保護法のときに初めてデモに参加しました。大事なことが政府の都合いいように隠されてしまったら大変だと。札幌でひどいヘイトスピーチがされていて、それに反対する行動に参加したのもA.F.M.A.を始めるきっかけになりました。
日韓断交とか、嫌韓のデモを札幌雪まつりの会場のど真ん中でやっているんです。世界中の人たちが来ている中で、民族差別、人種的差別を公然とやっていることに驚きました。放置していてはだめだと思いました。
カウンターという行動ですが、ヘイトスピーチをやっているところで抗議の行動を起こし、回りの市民の人たちに、いまヘイトスピーチが行われていることを知らせるチラシを配ったり。そういうことにかかわったのが自分の中では大きかったのかな、と思います。
札幌で6月終わりに、「戦争したくなくてふるえるデモ」にスタッフとしてかかわったことがあって、旭川でも若者でやりたいなという思いを強くしました。
大学で社会福祉学科の先生に、朝日訴訟とかについてがっつり教わったことも、いまにつながっているように思います。
ぼくたちいまの若者は、団体よりも個人としてのつながりを重視しています。労働組合の人も、自分の意志で行動する人がいるから運動を盛り上げることができたと思います。ただ、団体の旗や幟だと、その団体でないと参加できないのかな、そんな集まりかな、と団体に属していない人は敬遠するかもしれない。「戦争法案反対」の旗やプラカードなら、そういう思いの人は誰でも参加できると思ってもらえるんじゃないでしょうか。
ぼくは、若者や街を歩いている人に訴えを聞いてもらいたい、大変な問題だからもっと振り向いてもらいたい、飛び入りで参加してほしい、などと思っています。
個人として1人1人が声をあげられるような活動をやりたい。そうすることで、もっとたくさんの人が関心をもって参加してくれるのではないか、自発的に参加してくれるようになるのではないか、と期待しています。
普通の若者がいっしょにできる運動にしたい。1人1人の生活がとても大事だと思います。普通に働き、普通に遊び、そして普通に運動もする。
安倍政権は、時間がたてばぼくたちは今回のことを忘れるとみているようですが、ぼくたちは忘れません。非暴力で、どこまでも抵抗し、追及していく。そして選挙につなげたい。戦争法案に賛成した議員は落選させる流れをつくりたいと思います。国民無視の自民党・公明党には投票しない。
主権者はぼくたちなんだ。みんな、選挙に行こう、投票に行こう!
(写真はすべてA.F.M.A.提供)
旭川の若者たちへ
「一人がゆるぎなく立つ」ことが基礎。立ち続けましょう。私は沖縄で立ち続けている一人です。立ち続けて年をとりましたが、これが生きるということだと 思っています。
後期高齢者です。幼児期の戦争の記憶が鮮明に残っています。戦争は、一番大事な人の命に関わる最悪の行為です。
若い皆さんの大きな声と行動に限りない共感と拍手を送り、私たちも持てるエネルギーを発揮してみなさんの後に付ながらスクラムを組んで動きます。
若い皆さんの「立憲主義と民主主義の実践のたたかい」に日本の未来が見えてきます。
たたかうのは今ですね!共に悔いのない奮闘を!・・・握手!
旭川の青年たちの考えに全面的に賛成します。一人一人が個人として声を上げる、そして手をつなぐ。加藤周一さんも強調されていたことですよね。老人たちと青年たちの共同についても。