【連帯・社会像】

小田川義和:2000万署名と野党共闘を推進する共同の力

 民主党や共産党など5野党が、戦争法(安保法制)廃止、国政選挙での協力に合意しました。多くの主権者・国民の強い要求が政党を動かしたといえます。その「2015年安保闘争」をけん引し、国民運動の「大きな背骨」(中野晃一・上智大学教授)の役割を担っているのが「総がかり運動実行委員会」です。中心的な2人、小田川義和・全労連議長(戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター)、福山真劫・平和フォーラム共同代表(戦争をさせない1000人委員会呼びかけ人)に話を聞きました。インタビュー順に、掲載します。〈文責・星英雄〉

──新しい、大きな市民・国民運動の現状をどう評価していますか。

 戦争法案廃案の闘いを振り返るところからお話ししたいと思います。2014年12月に総がかり行動実行委員会を立ち上げ、かつて護憲勢力といわれたほぼ9割以上が参加しました。このこと自体、画期的な意味があったと思います。それにシールズ、ママの会、学者の会、憲法研究者のグループといった、どちらかといえばこれまであまり表に立って運動されていなかった方々が戦争法案廃案、立憲主義の回復ということで立ち上がり、運動を厚くしました。ここに、大変な危機感を持っている市民が自発的に運動に参加して、2015年安保闘争といわれる画期的な闘いになりました。

 運動が与えたインパクトは非常に大きく、国会の中の政党間の共闘を深め、変化させていきました。その変化がまた国会の外の運動を活性化させるという循環の中で8・30の大規模な行動があり、9月の参院での採決直前の状況がありました。

 戦争法は強行されたけれど、その日に日本共産党から国民連合政権構想がすかさず出されたことも、闘いの過程での国会の中と外の連携の強まりがあったからと理解しています。

 2000万人統一署名の取り組みを基礎に、安保法制(戦争法)の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合が昨年12月にできました。野党共闘を追求し、戦争法廃止運動を軸とする政治的変化を市民運動の側から作りだしていこうという動きです。

 いち早く熊本で、市民の運動と政党の協力で統一候補が誕生しました。全国的な運動と連携をはかりながら熊本の選挙で勝とう、というところまできたわけです。このような市民運動の支えもあって、5つの野党が国政での選挙協力に合意しました。

 危険な安倍政治に対する対抗軸として、戦争法廃止の一致点での野党共闘があります。これまでにない変化ですが、政党がリードしたわけではなく、市民運動の側からの働きかけ、自分たちのことは自分たちで決めるという民主主義の立場で運動を進めているのが今の特徴だと思います。

 あの戦争法がある限り、戦死者が出る危険はなくならないと訴えると、強い反応があります。これまでですと、法律が成立すると負けたとなりやすいものです。しかし、そうならないところが、この運動とそれ以前ものとの違いがあると思います。

 2014年11月にNHKが戦後70年に関する世論調査をしました。国民は戦後をどのようにイメージしているのか。最も多くの人、全体の37%の人が選んだ言葉は「平和」でした。2位が14%の「混乱」、3位が12%の「繁栄」でしたから、「平和」がいかに国民に定着しているか。

 戦後、自民党政治のもとでも、2度と戦争をしない国であり続けたいというのは国民の堅い意識だと思います。集団的自衛権の閣議決定や戦争法はそこにぶつかったのです。国民の平和を大切にする意識が岩盤のようにあるから熱が冷めない、戦争法を廃止しなければいけないという声が即座に響くのではないかと思います。

 安倍首相は宿願の9条改憲のために、次から次と、嵩にかかって攻めてきています。安倍・自公政権への批判も強いけれど、受け入れる若い人もいます。両面ですね。いま、せめぎあいの一番の切っ先に戦争法があるのです。

──戦後70年が過ぎて、国民の間に憲法の価値観が浸透しましたね。

 立憲主義という難しい言葉が使われていますが、憲法をベースに政治が行われていれば、安倍政権のような暴走政治にはならないことに国民が気づいたと思います。憲法はお飾りではなく、実際の運動の軸、基盤になるという点もです。

 日本国憲法は、平和の下で福祉国家をめざすことで個人の尊厳を擁護するというのが基本にあると思います。私は労働運動が当面めざすべき目標としても、それでいいと考えています。

 安倍政権は憲法を否定し、参院選後は明文改憲をめざすことを明らかにしています。安倍政権の暴走を止めるには憲法を大きな武器にして、対抗する必要があると思います。

──シールズやママの会の活躍が目立ちますが、「掛け布団、敷布団論」もあります。労働組合が果たした役割はどうだったのでしょうか。

 戦後労働運動の原点に、2度と戦争する国には戻らない、そのために頑張るというのがあります。戦争法反対の国会周辺の行動を始めたのは、5月12日の日比谷野外音楽堂の集会からでした。そこから、6月中旬までは労働組合の働きかけで参加した人が多かったと思います。2000万人統一署名もそうですが、この闘いのなかで、敷布団の役割を担い、運動のコアの部分を支えているのは組織された人たちだと実感しています。IMG_9500

──国民運動といわれるほど画期的な運動となっているのは、戦後の平和運動の分裂を乗り越える「共同」の成果といわれています。

 福山真劫さん(平和フォーラム共同代表)がよくおっしゃるのは、「危機感の共有」です。まったく同感です。総がかり行動実行委員会に先立って、連合の中の旧総評系の方々が参加する「戦争させない1000人委員会」と、「解釈で9条壊すな!実行委員会」は国会包囲行動の形で共闘していました。

 そこに、憲法共同センターとして共同の申し入れをしたのは一昨年6月。直後の7月には集団的自衛権の閣議決定が予測されていて、「安倍は本気だぞ」という思いを非常に強く持っていました。だれが主導権を握るとか、どこがガバナビリティーをとるとかではなく、力をあわせて安倍政権に対抗する方向で議論したいということです。そうして、総がかり行動実行委員会を立ち上げることになりました。

 1989年の労働戦線再編の確執が消えているわけではありませんが、それを横に置いて戦争法廃止、憲法9条守れの1点で共同しようということでした。

 恐る恐るのスタートでしたが、昨年の5・3憲法集会は予想以上の多くの人が参加しました。動員型でやることに慣れていたわれわれの運動のスタイルからするとびっくりです。会場の熱気、反応の強さ、いつもより桁が1つ多い1000万円のカンパ。総がかり行動実行委員会を立ち上げたことへの期待の高さ。こうしたことを私たちが感じ、理解したからその後の運動に続いたのだと思います。いま振り返ると、共同を求める市民の皆さんの意識は、運動より先に進んでいたのだろうと思います。

 戦争法以前にも、2011年以降、原発の課題で何回も集会を重ねていました。その中で、お互いの顔が見えていたこともプラスに働きました。総がかり行動実行委員会の中での違和感は、今はありません。

 連合にもこの運動に加わってほしいと思っています。労働法制の改悪反対では連合も一緒の立場です。最低賃金の引き上げでもそれなりに強いメッセージを出しています。大企業の正規労働者中心の労組という批判に、少しでも変えていこう、社会的役割をはたしていこうという姿勢がみえはじめていると思います。可能性がないとは思っていません。

──沖縄の辺野古新基地建設阻止の闘いは戦争法廃止と一体の問題です。

 私は昨年5月、那覇市のセルラースタジアムでの県民大会に参加しました。沖縄の人々の思いにこたえ、辺野古新基地建設を阻止するために全力を尽したい。沖縄と安倍政権の対立という構図から、日本の国政の主要な対立軸にしたいと考えています。そのためにも、野党共闘の1つの課題に位置付けられるようにしたいと思います。

小田川義和:2000万署名と野党共闘を推進する共同の力” への1件のコメント

  1. 昨年の5・3憲法集会は、私も妻と参加しました。確かに予想以上の多くの人が参加していました。それが総がかり行動実行委員会を、そんなに励ましていたとは知りませんでした。確か5党がそろって参加しながら、まだ手を握れなかった記憶があります。もっと共同が進めばいいなと思ってか帰りました。しかし、その思いを私自身、行動で表すまでには至っていませんでした。それが今、シールズ、ママの会、学者の会、憲法研究者のグループなどが、「野党は共闘!」「野党はまとまれ!」と声に出し、行動するようになったことを、主権者国民の目覚めとして喜びたいと思います。この共同・共闘を瞳のように大切にして、一層強め、国民が望む政権を国民と野党で話し合って、創って行きたいと思っています。2000万人署名で応援するから「野党は頑張れ!」。

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