「2015年安保闘争」を経過した2016年の日本国憲法と第9条についての世論調査は、大きな変化を現しています。
「9条を変えて、国際貢献の出来る日本を!」というスローガンをかかげ、新生党、新党さきがけ、日本新党などが大々的な改憲選挙を行い、細川護熙政権を樹立した1993年から、1000万人の読者を対象に、大改憲キャンペーンを行ってきた「読売新聞」は3月17日に憲法世論調査の結果を発表しました。改憲を「しない方がよい」が50%、「する方がよい」の49%を上回りました。
自らの任期中に改憲をするとしていた第1次安倍晋三政権を、草の根からの運動で打ち倒したのが2007年9月12日。その翌年2008年の世論調査で「読売新聞」は15年ぶりに、「しない方がよい」が多数派になったとなげいたのでした。その翌年の総選挙で、自民党から民主党への「政権交代」が実現したことを思い出してください。
15年ぶりにということは、1993年からずっと改憲を「する方がいい」という人が増えつづけ、2004年に「九条の会」が結成され、他の護憲勢力と協力を広げながら草の根運動を広げることで、4年がかりで形勢を逆転したのです。
しかし「読売新聞」の世論調査では、この年以後、再び「する方がよい」が多数派となっていたのです。その状況を今回は8年ぶりに「しない方がよい」が多数派になる再逆転が実現したのです。間違いなく、草の根からの運動による世論の変化なのです。
5月2日のNHKの意識調査では、憲法改正が「必要ない」が31%で昨年より6%増、「必要ある」は27%で1%減でした。「必要ない」は、この5年間で最も多くなったという発表でした。「必要ない」の理由として最も多かったのが「戦争放棄を定めた憲法9条を守りたいから」で、7割に達しています。
5月3日付の「朝日新聞」では、憲法を「変える必要はない」が55%で昨年から7%増、逆に「変える必要がある」が37%で、6%減でした。「変える必要はない」という人の理由で「平和をもたらしたから」が72%で最多でした。さらに憲法9条については、「変えない方がよい」が68%で、昨年から5%増で、「変える方がよい」27%を大きく上回っています。
憲法発布70年となる、69回目の憲法記念日の国民世論は、「2015年安保闘争」を、しっかりと反映したものになっています。
だからこそ、あらためて、これからの運動をどこに重点をおいて展開していくことが問われているのです。
まずは、「戦争法廃止、2000万人統一署名」を達成させることです。5月3日までに目標を達成させることをかかげていましたが、実際は1200万筆です。6月まで運動の延長が提起され、全国で取り組みが強められいきます。もう1回りではなく、3回りも5回りも署名運動を広げていくことが必要です。
そこで大切なことは、自分達だけで集めると考えるのではなく、署名に応じてくれた方たちに、この運動に加わってもらうことです。「2000万」という数には根拠があるのです。昨年9月19日に戦争法制が強行採決される直前の9月12日と13日にかけて「産経新聞」が世論調査を行いました。
「安保法案に反対する集会やデモに参加したことがあるか」という質問に、「はい」と答えた人が3・4%、有権者比で340万人、「今後参加したいか」という問いに「はい」と答えた人が17・7%、1770万人。合計すると2000万人をこえるわけです。
つまり、「2015年安保闘争」にすでに立ち上がっている人たちが、働きかけがあれば行動を共にしようという人たちに出会って、7月の参院選挙で野党候補を勝利させる政治的力関係をしっかりと構築する運動なのです。
5月3日の有明防災公園での統一した2度目の「5・3憲法集会」は、5万人の参加で大きく成功しました。安倍晋三政権の改憲策動を絶対に許さないという、強い決意がこの集会での、4野党党首の発言で表明されたことは、きわめて重要です。
参議院選挙の32の1人区のうち、6割をこえる21の選挙区で野党共闘が実現しています。4月24日に投開票が行われた、北海道5区の衆院補選では、野党統一候補の池田真紀さんが、大きく票を伸ばしました。
私は大学と大学院時代を北海道大学で送りました。北海道5区は「町村王国」とまで言われた、町村信孝前衆院議長の血筋の政治的影響力の強いところでした。その「町村王国」で、シングル・ママの池田真紀さんが、町村氏の娘婿の和田義明氏に対して、あれほどまでの追い上げをしたことは、「野党統一」の大きな力を示していると思います。
北海道5区には、陸上・航空自衛隊の基地が広域をしめる千歳市や、「恵庭事件」の発端となった島松駐屯所のある恵庭市も含まれています。そのような地域で、自衛隊員が海外で殺し殺されることになる戦争法制は廃止しかないという池田真紀さんの訴えは、自衛隊の家族にも大きな共感を広げました。
今、最も大切なのは、第3次安倍政権が、戦争法制としての「安全保障関連法制」を、3月29日に施行したにもかかわらず、一切行使することが出来ないという拮抗状態を、新たな草の根運動の側がつくり出している、ということです。
2015年9月19日に参議院で、所定の手続きをふまないまま「採決」したとされている戦争法制に対して、「何から何まで憲法違反だ!」という主権者の声が、上げられつづけているからこそ、3月29日に「施行」されたにもかかわらず、安倍政権は、この法体制を使うことが出来ないままなのです。
毎日毎日、この日本という国のここかしこで、主権者としての国民が、戦争法制は憲法違反だ、廃止するしかないと声を上げつづけているからこそ、安倍政権は、使うことが出来ないのです。
「九条の会」の呼びかけ人の1人であった井上ひさしさんは、講演の末尾近く、必ず、憲法とは主権者としての国民が、国家権力、すなわち行政権としての内閣、立法権力としての国会、司法権力としての裁判所に縛りをかける最高法規なのだということを強調されていました。
1人ひとりの主権者としての草の根運動によって、最高法規である憲法で国家権力を現実に縛り込んでいるのです。ここに、これまでの戦後日本の政治過程では、想定できなかった野党共闘を実現しているのです。
あと残りの11の選挙区で野党共闘を実現出来るかどうかは、それぞれの選挙区における草の根民主主義運動を担っているみなさんの奮闘にかかっています。
北海道5区の選挙結果は、民進党と共産党の支持者のほぼすべてが「イケマキ」に投票していました。共産党が入ると民進党の支持者が離れるということはないと証明されたのです。9月19日未明の国会前で鳴り響いたSEALDsの「野党は共闘」というコールに共鳴した多くの人々の声が、32の参院選1人区で結実するよう、全力をあげていただけるよう、心からお願いいたします。
5.3憲法集会が東京の有明防災公園で開かれ、私も参加しました。風は強かったが、天気に恵まれ、参加者も昨年の3万人から今年は5万人に膨れ上がった。
昨年の安保法制反対の国民運動の後押しで、野党が固まり、国民・市民の共闘ができ、市民革命とでも称される大運動が、全国通津浦浦で展開されている中で、この憲法集会がもたれているとの指摘に感動しました。
野党、民進、共産、社民、生活の4党首が挨拶し、手を取り合って振り上げたポーズには、惜しみない拍手が沸き上がりました。
戦争させない・9条壊すな!総がかり実行委員会の呼びかけた2000万人署名は1200万人達成し、残りは6月30日までに達成しようと呼び掛けられています。
全国の皆さん!国民・市民と野党の結束は進みました。6月30日までに2000万人署名を達成し、参院選に勝利し、「戦争する国づくり」にストップをかけ、憲法を守り抜きましょう。共に力の限り頑張りましょう!
小森先生 18日に講演をお願いしている、一関市の実行委員会の佐藤です。「文つぶて」を参考にします。10年前に講演していただいた時の首相が安倍、今年も安倍。この10年の歩みを振り返っています。お気をつけておいでください。