ブックレット「生協の歴史から戦争と平和を学ぶ」(400円)が2016年4月12日に発行されました。私は本書の発行は時宜を得たと思っています。
著者の齋藤嘉璋さんは早大生協、戸山ハイツ生協、東京都民生協、日本生協連の役員を歴任した方です。また、「憲法とその平和主義、民主主義を守る活動をすすめる」ことを目指す「生協だれでも9条ネットワーク」を立ち上げた中心メンバーの一人です。
「生協は平和を大切にし、核兵器廃絶や戦争反対の取組をしています。何故でしょうか?戦後70年経って、戦争と平和について関心が高まっている今、あらためて考えてみたいと思います。」と呼びかけて本書は始まります。
~日本の生協の誕生は明治時代にさかのぼります。そして日清・日露戦争の影響を受けながら地域、職域、共済、医療などの各種生協が誕生したのですが、労働組合と一体だった労働者生協は解散させられました。
大正期に第一次世界大戦後の恐慌や労働運動の高揚と大正デモクラシーの潮流のなかで労働者生協や現在のコープこうべなどの市民生協が誕生します。
しかし、満州事変からはじまる「15年戦争」中に生協の諸活動への政治的締め付けがが強まり、労働者生協や学生生協は解散に追い込まれました。第二次世界大戦に入ると市民生協群も組織・事業すべての面で戦時体制の締め付けを受け、空襲などの直接的な被害もあり、壊滅状況になります。
日本の近代化の早い時期に誕生し、大正・昭和期に発展を見せた日本の生協は戦争によって壊滅的打撃を受け、戦後に再建、継続されたのはほんのわずかな生協でした。
「戦争がなかったら…」という思いは、当時の生協関係者の強い思いです。その歴史を振り返り、その思いを共有したいと思います。~と概括しています。
私はこの本の著者齋藤さんを講師にした学習会に4月19日、5月8日と参加しました。
私は日本生協連の職員として約40年に渡り、「平和とより良い生活のために」とのスローガンを掲げて仕事をしてきました。生協組合員の皆さんとともにヒロシマ・ナガサキを訪問する機会も何度かありました。
そんな私ですので、生協の平和運動の基本は押さえていたつもりでしたが、改めて、明治時代まで振り返ることで、生協運動の底流をなすものに気づかされました。
戦争に翻弄された生協活動の先輩たちが壊滅的な状況のなかから再び立ち上がり、「~われわれ協同組合運動者は第2次世界大戦の惨禍を自覚し、国際協同組合デーには常に『平和の使徒』たらんことを世界の同志とともに誓い合ってきた。平和とより良き生活こそ生活協同組合の理想であり、この理想の貫徹こそ現段階において課せられた最大の使命である。~」と日本生協連の創立宣言にうたった意味が理解できました。
戦後70年を超えて安倍政権のもとで、再び「戦争が出来る国へ」の転換がはかられています。自・公与党+αは憲法違反の戦争法(安保法制)の強行に続いて、この7月参議院選挙で議員数2/3を超えることを狙い、その先に憲法九条の改悪を想定しています。
これを許すわけにはいきません。今こそ頑張りどころととらえ野党候補や野党統一候補を勝たせなければなりません。周りへの声掛けを強めていきたいと思います。