【連帯・社会像】

水野真由子:「野党は共闘」を願い、追い求めるシングル・マザーです

 水野真由子さんは小学校1年生の娘を育てるシングル・マザーです。生活は、決して楽ではありません。ですが、子供たちの未来のために、そして原発のない、戦争のない社会をめざして、「野党は共闘」の活動をしています。東京・世田谷区の住民として市民活動を続ける水野さんにその思いを聞きました。〈文責・星英雄〉

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 「市民連合めぐろ・せたがや」、「めぐろせたがや勝手連」のメンバーとして活動しています。「市民連合めぐろ・せたがや」は、衆院東京5区6区の候補者の一本化を実現しようと、市民が結集した市民団体です。安倍暴走政治を止めようと、参院選でも野党統一候補を応援しています。東京都知事選でも、なんとしても統一候補を実現したいと活動しています。

 私は前の会社で広報の仕事をしていたので、「市民連合」ではチラシをつくったりFB(フェイスブック)に載せるバナーをつくったり、ロゴをつくったりしています。娘の小学校のPTAの活動もあって、すごく忙しい。

 活動をはじめたきっかけは、3・11(2011年3月11日、東京電力福島第1原発事故)です。市民としてなにができるか、市民運動に関心を持ち始めました。そのとき、私はシングル・マザーで、娘は1歳数カ月のころでした。

 コンビニにいっても水が売り切れて1つもなく、びっくりしましたが、まだ原発事故のことはよくわかりませんでした。3・11のあおりを受けて会社は倒産し、1歳のこどもをかかえて、私の生活は目も当てられない状態でした。

 生活のために日銭を稼がないといけない。娘をおんぶして不動産屋のポスティングのバイトをしたりして、なんとかしのいでいる毎日でした。

 そんな梅雨時のある雨の日でした。娘をおんぶしてチラシを大量に持って信号待ちしている時に、後ろから声をかけられたんです。同年代くらいの女性がビニール傘を差し出してくれて、「赤ちゃん、雨に濡らさないで」って。放射能の話やその方の娘さんのことを聞かされて、もうびっくりでした。

 情報を自分で探さなければいけないと思いました。仕事でパソコンは使っていましたが、自分はアナログ人間です。ツイッターとかミクシーとか、SNSとか、無縁でした。

2014年10月、秘密保護法反対のデモをする水野さん(最前列=写真提供:水野さん)〉

2014年10月、秘密保護法反対のデモをする水野さん(最前列=写真提供:水野さん)〉

 実際、自分で探していろんな情報に接すると、テレビや雑誌などで伝えられているよりもっと深刻な状況なんだと、気が付きました。国会前でみんな行動している、毎週集まっていることも知りました。

 でも娘はまだ赤ん坊で国会前に行けなかったので、おカネはないけど少しでもと1000円2000円とカンパしました。やっと生活の土台が整って、国会前に行こう、デモに行こうと、自分が行動するようになったのは3年半前くらいですね。

 根底にあるのは、この子が将来どんな社会で育っていくのだろう。このままじゃ、まずいという思いです。何十年もたって、「お母ちゃん、何もしなかったの」といわれたくない。娘を守らないといけない。そして未来を担う子供たちを、という思いです。

 命を大事にしたい。原発をなくしたい。TPPとか安保法制の問題も根っこは同じです。政治を何とかしたい。娘をもつ母親でなかったら、ここまで関心はもたなかったかもしれません。

 野党は、市民は絶対共闘しないといけないと思ったのは前回の都知事選の時ですね。それまでいっしょに「原発いらない」といって国会前で抗議していた仲間が割れたのです。

 集会で配られた脱原発のチラシをみても、「あ細川だ」、「なんだ宇都宮か」という感じで、そのチラシを受け取りたくないという空気です。割れましたね。選挙が終わって総括しても、ちょっと溝が残りました。それがすごく悲しかった。

 どの選挙でも仲間が割れてはいけないと思っています。原発、安保法制、憲法問題など、「野党は共闘」で頑張りたい。都知事選も統一候補を立てて、都民の知事を誕生させたいと思っています。ちなみに憲法について私は、いつか現代の言葉に直したいと思っていますが、その時も今の憲法の理念はしっかり守りたい、と考えています。

 安倍政治の暴走を止めよう、野党は共闘って普通の感覚だと思いますけど、政治的なことを話題にするのはまだまだ難しいですね。政治の話はタブーだという空気がまだ日本社会にありますが、壊さないといけないと思います。

 「安倍政治を許さない」というポスターを家の壁に貼ってあるんですけど、いろんな反応があります。共産党の人たちが「お話したい」と、私の留守のときに言ってきたみたいです。ママ友が遊びに来た時、「これ何」って。同年代のママさんたちには政治の話は届かないみたいですね。

 娘を保育園に預けていた時は、私の自転車には「安倍政治を許さない」「原発いらない」などのシールを張っていました。選挙前には、「○月×日投票日」というのを張ってますけど、反応はあまりありません。

 私の弟はプロのミュージシャンですけど、全く政治に興味を示しません。シールズを笑うんです。シールズのような若い子は、全体のごく一部です。シールズはエリートだろうみたいに見ている若い子たちはいっぱいいます。

 去年11月、仲間たちと沖縄に行きました。辺野古、高江に行って、そして宮森小学校で話を聞きました。米軍ジェット機が墜落し、パイロットは脱出、生徒たちがたくさん亡くなった事故の話です。号泣しました。そんな事故があったなんて、沖縄にこんなに米軍基地があるなんて、学校では習わなかった。

 沖縄も福島も差別がはびこっていますね。私たちが知らないから、知識がないから、差別を許しているのだと思います。国民がみんなで考えないといけない問題だと思います。

 私の亡くなった母親は韓国人で、差別や迫害を受けて生きてきましたが、選挙権がなかったこともあって、政治には無関心な人でした。私は20歳になって選挙権を得てから、選挙は欠かしたことがありません。でも、知識が乏しかったころは、候補者を顔で選びました。この顔は信用できるとかできないとか。

 でも、それだけでは候補者のことはよくはわかりません。安保法制廃止、憲法9条守れ、脱原発などについてどんな立場の候補者か。私は野党共闘の推進者に当選してほしいと思っています。でも、自分には比例区と選挙区の各1票しかないんです。それが、とてももどかしい。

水野真由子:「野党は共闘」を願い、追い求めるシングル・マザーです” への2件のコメント

  1. 水野さんとは金曜日(反・脱原発金曜行動)、国会正門前からちょっとひこんだところの、「希望のエリア」というコーナーでお会いします。背が高く、素敵な方です。ドラムをたたき、コールを盛り上げてくれます。娘さんもみんなのアイドルです。是非皆さんも金曜「希望のエリア」にご参加ください。午後6時~8時までです。

  2. がんばるママさんを影ながら応援しています。
    日々のたたかいの中にいて、母としてもがんばってる真由子さん、
    お体も大切に❗

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