明日10日投開票の参院選は、憲法改悪をめざす自民・公明などに、参院の3分の2議席を許すかどうかが最大の争点になってきた。すでに改憲勢力は昨年、憲法違反の集団的自衛権行使の安保法制(戦争法)を強行成立させた。彼らに明文改憲のフリーハンドを与えてはならない。民進党、共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちの候補者に票を投じよう。
安倍首相の「政権運営の目標はただ1点、憲法改正にある」というのは自民党内の一致した見方だ。安倍首相自身、そのことを隠さなかった。今年の1月の年頭の記者会見で「憲法改正については参議院選挙でしっかりと訴えていく」と語っていたのだ。
しかし、多くの国民は憲法、なかでも9条を変えることには強く反対している。安倍首相は憲法に触れないほうが選挙を有利に運べると考えて、参院選では争点化を避けてきた。
その結果、マスコミの世論調査では、自民党、公明党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党といった改憲勢力が、参院の3分の2議席を占める勢いとされている。
衆議院では、すでに自民党と公明党だけで3分の2以上の議席を得ているので、このままでは、憲法改正の手続きへと進んでいくことになる。これを許してはならない。
「海外で戦争できる国」にしてはならないという国民の強い反対運動を押し切って、安倍・自公政権が安保法制を強行したが、アメリカの要求にこたえることが最大の動機だった。憲法違反の集団的自衛権行使は、米軍の後方支援=下働きで、日本も血を流します、というアメリカに対する誓約だ。
アメリカ1国だけで戦争をやりきる力が低下してきた分、日本が肩代わりを求められている。アメリカの要求は今後いっそう強くなることが予想され、自民党を中心とする日米同盟強化論者は、すすんでアメリカの要求にこたえることが「安全保障政策」だと考えている。
米共和党のトランプ大統領候補は駐留米軍経費について、同盟国が全額支払うべきだなどと発言している。格差や貧困から生じるアメリカ国内の不満を、日本の問題にすり替えて、そらすやり方だ。アメリカの国力の低下を同盟国に負担させようとするのは、民主党の大統領候補、クリントン氏も同じである。軍事的役割も経費も日本はもっと負担せよ、というのがアメリカの要求だ。9条改憲をアメリカは求め続けるだろう。
憲法9条の明文改憲を許せば、それこそ米軍のように、どんな形態の軍事行動も可能になる。ただし、アメリカの下働きとして。そのために予算も軍事強化目的に使われ、米軍経費をさらに肩代わりし、国民の社会保障などはさらに軽んじられることは目に見えている。
安倍首相は憲法を争点にすることを避けてきた。憲法改悪を許すなという国民の声の高まりを恐れてきた。安保法制(戦争法)に反対し、憲法改悪に反対する人々は、自民、公明などの改憲勢力の3分の2議席を許さないため、民進党、共産党、社民党、生活の党に1票を投じよう。