都知事選が終わった。保守は分裂、野党は共闘で、自公の都政を刷新する「千載一遇」のチャンスといわれた都知事選だったが、野党統一候補はダブルスコアで敗北した。敗戦に真摯に向き合うことなくして、次はない。
都知事選の結果は、 小池百合子291万2628票、 増田寛也179万3453票、 鳥越俊太郎134万6103票。鳥越野党統一候補は、参院選で4野党が獲得した248万余票から100万票以上も減らした。無残というしかない結果だ。
鳥越都知事をめざして取り組んだ私の周辺の意見を総合すると、一番影響したのは鳥越氏の健康・高齢問題だった。「都知事にして大丈夫なのか」という意見は前回都知事選で支持してくれた都民や家族に根強かった。街頭での演説回数の少なさは、逆に都民の不安を裏付けるようなものではなかったか。
今回立候補を断念した宇都宮健児氏は、週刊誌で報じられた「女性の人権」問題を理由に、鳥越氏の応援演説要請にこたえなかったという。これも、影響したことは間違いない。鳥越氏を支持する勢力が分断される結果となった。
マスコミには「具体的な政策乏しく」(毎日新聞)と報じられた。「ストップ・ジ・アベ」とか、「改憲策動を許さないために」とか、国政選挙のようなノリも横行した。しかし、都民の関心はどの世論調査を見ても、教育や子育、医療、福祉などを重視していることで共通している。まるで「江戸の敵を長崎で討つ」といったやり方はどうだったのか。都民は都政の刷新を求めていたと思うのだ。
鳥越氏が、先の参院選で改憲勢力が参院の3分の2を占めたことに危機感を抱いて立候補を決断したという。それには私も共感し、賛同した。知事の資質として、政治姿勢として素晴らしいと感じた。しかし、都政は都政だ。次第に都政を語れるようになってきたとは思うが、鳥越氏が都政に明るくなかったことも確かだと思う。都政を語る中でこそ、政治姿勢は生きてくる。
都知事選は参院選の延長ではない。都知事は国政に関して、首都を代表する形でメッセージを発することはできるし、その意味は大きい。しかし、出来ることは限られている。
共産党の志位委員長は、安倍政権の「海外で戦争する国」づくりによって都民の命が危険にさらされる。戦争への道を許さないというのは都知事候補として当然だ、と演説した。(7月22日、有楽町での5党代表街頭演説)
小池書記局長は、参院で3分の2を改憲勢力が占めた参院選の意結果を、一発でひっくり返すことが出来るのが、今度の都知事選挙だ、と訴えた。(7月19日、革新都政をつくる会の総決起集会)
途方もないことを言い出す人たちだと思った。仮に鳥越氏が都知事になったら、「戦争法」の発動を止めることができるというのだろうか。都知事選の結果で、参院選の結果をひっくり返すことができるというのだろうか。煽るだけの演説で選挙に勝てるはずがない。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」といわれる。いまでは野村克也元監督の名言として知られているが、要は、ラッキーな勝ちはあっても、理由のない負けはない。敗北の原因をしっかりと把握しなければならないということだ。
候補者選定を主導した民進党、そして共産党、生活の党、社民党の4党は、敗北に真摯に向き合い、きちんと総括してほしい。なぜ鳥越氏だったのか、統一候補に至る過程、選挙期間中の取り組み、宇都宮健児氏とのこと、すべて明らかにして都民に、とりわけ鳥越都知事をめざして奮闘した人々に、説明責任をはたしてもらいたい。それがあってこそ、野党共闘は次のステップに進むことが出来ると思う。
最後に1つ提案したい。次の都知事選に向けて、市民・都民、市民団体、政党が横並びで構成する、常に開かれた、恒常的な場が必要だと思う。そこで政策を議論し、めざすべき東京像を練り上げていく作業が必要だ。国政レベルでも必要なことだと思う。
まったくその通りです。野党4党は真剣な総括が必要です。なんとなく勝てそうな候補だからという理由で、都政をどうするのかという政策がないままに、密室で候補者選びが進んでしまったという印象でした。野党共闘が先にありきの「野合」といわれても仕方がありません。野党と市民連合が公開の場で都政をどうすべきかという政策を議論し、その政策を実行するのにふさわしい候補者は誰かを公開の場で決めるのが本来のあり方のはずです。都知事選を真剣に総括し、市民にその結果を示し、今後の野党と市民の共闘のための教訓にしてほしいです。
鳥越氏は突然現れた。宇都宮さんとの関係が気になった。宇都宮さんが身を引いた。その後の経過はご存知の通り。なぜなのか。いくつもの疑問。否、ただ一つの疑問かもしれない。その疑問を解いてほしいと思っていたところに、この投稿を見た。都知事選の経緯とその結果を教訓とした今後の展望を、都知事選を主体的に戦った方々に教えてほしい。
星氏の見解に賛成。選挙期間中接した、コアの宇都宮支援者の人たちは鳥越応援にはまわらなかった。選挙が終わって、「清々した」「勝利者は宇都宮さん」の声も。特に築地市場の豊洲移転反対に取り組んでいる人達はそうでした。鳥越氏はそれについて問題意識さえ持っていなかった。宇都宮さんの知事選への声明は「宇都宮希望の街」のHPに載っています。しかし、JCPは「大健闘」と言っているが、小池候補の半分、前回の宇都宮さんと細川候補の合わせた得票数190万からみれば、「惨敗」と言うべきでしょう。
星さんのご意見を拝見致しました。
全く、同感です。
惨敗の総括を曖昧にすれば、
教訓を汲み取ることは、できないでしようね。
超いいね、を付けたいです。
鳥越さんの擁立の仕方、擁立後の準備不足と身体検査不足の露呈、スキャンダル対応の無策、エトセトラ。そのどれもが頭にくる。
しかし、失敗は許すことができる。許せないのは失敗を失敗と認めず、なんの反省もしないこと。
自民党の都連は役員の更迭で彼らなりの反省を示したが、共産党は健闘という空虚な2文字で惨憺たる失敗を塗りつぶそうとしている。
都知事選の結果についての星さんの意見にまったく同感。ただ、政党は星さんの述べた視点で総括しないでしょうね。私は千葉県ですが知り合いの東京に選挙権を持つ人が「今回は鳥越さんに入れる気がしない。」と言っていました。降りる直前のテレビ討論で宇都宮さんが、「野党も野合といわれても仕方がない」と言っていたけど、その通りだと思いました。舛添さんのあと、今回は都民もよくみていたと思います。