ユニキタ(UNITE & FIGHT Hokkaido)は戦争法(安保法制)廃止、安倍政権打倒を掲げて札幌を中心に活動している若者グループです。「野党は共闘」を求めて、シールズやママの会、学者の会などとも共闘してきました。「政治は変わる あなたが変える」「自分たちのことは自分たちで決める」というのがユニキタの精神です。(ユニキタの詳細は、末尾のpdfファイルをクリックして下さい)ユニキタの「持続する志」について、10代後半から30代前半の6人のメンバーに、札幌・エルプラザで話し合ってもらいました。〈文責・星英雄〉
──ユニキタはこれまでどんな取り組みをしてきましたか。
佐賀正悟 ユニキタは2015年8月15日の「北海道若者憲法集会」をきっかけに結成し、11月に「スタートアクション」をおこないました。戦争法を廃止するにはそれに賛同する国会議員が必要です。そこで、今年はじめから「野党は共闘」を呼びかけ、政党を共闘させるには市民団体が共闘しないといけないということで、「ママの会」などと「北海道5区」統一候補実現に、取り組んできました。
更科ひかり ユニキタは働いている若者が多く参加していて、年齢も20代後半から30代前半が多い。準備に時間をかけて大きいイベントをやるのは難しいので、場所だけ決めて毎日やるようにしてきました。ハンドマイクとプラカードを自分たちで持ってくればどこかに参加できるよね、ということでやってきたのです。
だれもが声をあげられる場所があることが大事なことですが、ユニキタはその役割をはたしてきたと思います。ツイッターを見てスタートアクションのイベントにきてくれて、いまいっしょにユニキタでやっている人もいます。
街頭宣伝やデモという訴え方は、主に2015年にやってきました。今年7月の参院選では、2015年型にプラスして、街頭で若い人1人1人と話をして投票行動に動いてもらう活動に取り組みました。じっくり対話をする中で、どこに投票するかを考えてもらう。そして戦争法廃止で投票してほしい、と訴えてきました。
芦野大地 ユニキタとしての活動とは少し違いますが、雇用や賃金の問題に取り組む「最低賃金上げろデモ札幌」や「さっぽろ青年ユニオン」での活動に参加しているメンバーもいます。「最低賃金上げろデモ札幌」ではコンビニを回って実態を聞いたり、デモに誘ったり。最低賃金を上げるためにコンビニナイトクルージングというのをやっています。働かせ方が異常だよねと、店員や店長に話しかけています。同じ店舗を何回も回って顔見知りになりますが、社会運動とあまり関わってきていない人が多いから、冷たい反応もあります。
佐賀 若い人の雇用は大変です。札幌では正規でも手取り月13万円から15万円が普通です。労働時間が長く、夜8時頃まで働いて、休みも少なく、デモにも参加できない。団体交渉で解決した人の中には、長時間労働から解き放たれた瞬間にデモに参加してきた人もいました。
──どんな思いでユニキタに取り組んでいるのですか。
黒川夕陽 私は自分で考えて、自分の思いを形にする。表現することが楽しい。安保法ができるのはいやだと思ってはじめたのですが、興味ない人もたくさんいます。結局、上の人が決めるんでしょうとか、自分が動いても変わらないと言うんです。でも、じゃあ、誰がやるの。結局、自分の考えが政治にもつながっていく。他人任せにできないからやっているんです。
西穂波 3・11の東日本大震災、東電の原発事故にぶつかったのは、中学2年の終わり頃。絶対起きないといわれていた原発事故が起きて、自分の生活が突然奪われることってあるんだと感じました。大事故が起きても補償さえまともにしない政府。それが道庁前の反原発行動に参加するきっかけでした。
佐賀 運動の潮目は、2011年の東日本大震災・東電原発事故以降変わったと思います。札幌の運動もそう。その年の夏に、道庁前で反原発の行動がはじめてあったとき、見たこともないような大勢の人が集まっていました。若い人のエネルギーがあふれていてすごかった。何もしなかったら僕たちを取り巻く環境がどんどん悪くなるのは明らかなので、ユニキタの運動はやめたら負けだと思う。
──格差はあっても自民党支持が多いなど、若者は保守的だといわれていますね。
西 自民党は人気があるといわれても、若い人が名前知っている政党は自民党とか民進党ぐらいしかないんです。政治家の名前では安倍晋三とか。自民党って、けっこう力ありそうだし。
更科 メディアも格差が広がっていることは伝えても、なぜそうなっているのか、それがいいのか悪いのかは言わない。接する情報が偏っていることの影響は大きいと思います。
民主党政権がズタボロだったことも影響していますね。自民党に失望していた人たちが今度は民主党に任せてみようと投票したけど、結局すごい自民党に似たものが出てきてしまった。リベラルっぽいものへの信用がなくなったと思います。結局これじゃん、みたいな失望感は大きい。
黒川 日本は就職のタイミング決まっているでしょう。その流れに沿って生きていければいいと感じている人が多いのでは。社会がどうかより、自分の人生がその流れに沿っているかが、大事なんだと思う。
芦野 僕たちは「さとり世代」といわれたりしていて、なんとなくふわふわ生きていけば、生きていけると思っている若者が多いのかも。
西 原発事故が起きる前は、貧困は自分の親がちゃんとしてないからだと思っていました。みんな、自分が貧困だと気づいていないし、気づいていても自分のせいだと思っている。大学に行けなかった友達もいるし、行った人も奨学金を借りて、バイトや借金漬けになっている。バイトで体を壊しても、それはしょうがないと思っている。日本では、高校までは政治のことは話題になりませんよね。卒業して、大学に行ったり、社会人になってやっと社会のおかしいことに気づくと思います。
黒川 中学からの友達で、私が運動していることを知っている子が、なんで、頑張って活動している人たちがいるのに、何も変わらないんだろうって言うんです。私は自分が行動して変わった瞬間をたくさん見てきました。政治のことだけじゃなく、いろんな場面で変えるために動くことが、大事だと思います。その子はそういう経験がないから、変えられないと思ってしまうんじゃないかな。実際は少しずつ世の中は変わっているんだけど、テレビ、新聞を見ているだけではわからないんです。
芦野 アメリカでは格差の広がりを背景に、サンダース現象が起きました。運動すれば世界は変えられるという展望を持ったことが大きいと思います。
更科 私は参院選で若い人とユニキタの対話活動をして、こんなに話を聞いてくれるのだと驚きました。私は30歳だけど、同じ世代の人はとりあえず嫌な顔をして、「大丈夫です」と。つまり、「けっこうです」と、全身から「ノー」を発信するんです。
でも若い人は、争点や気になることはありますか、とボードにトピックを書いて見せると、税金とか安保とか憲法とか答えてくれる。いままで、ひたすらいやな顔をされつづけてきた身には、うれしすぎて。
若い人たちは働きかけられていない世代、話しかけられてさえいない世代ですね。学校でも教えられていない。本当はすごく知りたいんだと思う。選挙権を持って、自分で考えて投票したいんだと思います。それに比べて私と同年代の人たちは、「関わりたくない」という思いが強いと感じます。
伊藤ナシカ 日本ではいまの現実を変えられると思っている青年がまだまだ少ない。私たちユニキタは自分たちで行動して変えたいと思ってやっています。しかし、変えられないと思っている人も多いし、変えたいという思いはあっても長時間労働などで行動に参加できない人が多かったりします。
ただ、3・11以降、何かしたい、自分が力になりたいと思う人がふえてきて、忙しい中でも参加してくれる人たちがいます。ユニキタの活動も活発になってきました。
──参院選は改憲勢力が伸びました。ユニキタはこれからどんな運動をしていきますか。
西 ユニキタは安保法制廃止、が目的。安倍政権をのさばらせてはいけない。安保法制を廃止するまでやる。政権を代えることが目的です。最後までやります。そうじゃないと意味がない。選挙で負けたから負けじゃなく、落ち込んだら負けだと思います。やめずに戦ってきた人たちがいるから、権利を勝ち取ってきた。だから、やめない。自分の生活をしながら、ユニキタの活動を続けたい。
黒川 私たちは安保法制廃止をめざしているが、政治への接し方が違う人たちを排除しないようにしたい。それが1人1人との対話活動につながってくる。関心のない人たちにも、勇気を出して接していきたいと思います。
伊藤 今後は、若い人の間に今の政治を変えたいという世論をつくりたい。さらに大きな運動をつくっていこう、というのがユニキタの目指すところであり、私の思いでもあります。
真実を取り上げるメディアが少ないので、1人1人と対話するのが1番力になる。参院選でのアンケート対話は確信になりました。
佐賀 いまは、憲法を守れというステージだと思います。もっと地元の文化に溶け込むとか、草の根の動きをつくれたらいいと思う。地元の商店街がユニキタのチラシを貼ってくれたり、地元で愛されるユニキタにしたい。
更科 安倍首相に憲法を変えさせない。憲法を活かす社会の方が魅力的ですよねという、憲法を押し出した対話を街頭でしていこう。対話をするには、自分の中に確信とか知識が必要です。
私たちの運動も長いスパンになると思います。ユニキタは押されないように息長くしぶとくやっていくつもりです。ユニキタの運動はまだまだ小さいですが、大きいうねりにしていくには、続けることだと思います。
ユニキタとしては戦争法廃止と反安倍政権でやってきたが、今後は市民の間でも、今まで以上にコミュニケーションを密にしたいと思います。東京だけでなく、地方もがんばっているぞと、札幌から発信していきたい。
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対話型というのは、手間暇かかるけど、大事な取り組みだと思います。ぜひ続けてほしい。がんばって&がんばろー