神田健策:命を守れ、南スーダン派兵反対、共同行動で憲法の平和主義を守り発展させよう

 10月30日、青森市で「自衛隊を南スーダンに送るな!いのちを守れ!青森集会」が開かれました。氷雨と強風にもかかわらず、1250人の大集会となりました。同集会で主催者を代表してあいさつした神田健策・青森県九条の会共同代表のあいさつ全文が届いたので、掲載します。

「自衛隊を南スーダンに送るな!いのちを守れ!青森集会」
                                    神田 健策(県九条の会共同代表)

■天候の悪い中、本集会に青森県内、東北地域、そして全国から集まられた皆さん、ご苦労さまです。大変寒い中での集会ですが、どうぞお風邪を引かないようにご注意願います。しかし、本日の集会の熱気はこの寒さを吹き飛ばすものがあります。青森では、昨年の戦争法反対の闘いにおいて、9月5日、この場所で1400名の集会を成功させました。青森では最大規模の集会ですが、今日また全国からの支援をえてさらに大きな集会を実現できました。ご参加、本当に有り難うございます。

■伝えられるところによれば、政府は、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に関する陸上自衛隊に関し、安全保障関連法案に基づく「駆け付け警護」の新任務付与を来月11月11日にも閣議決定する方向で検討しています。

■また、防衛省は、28日、この活動を行う部隊として青森市を中心とする陸上自衛隊第9師団第5普通科連隊(青森市)を中心とする次期派遣部隊の先発隊が11月20日、青森空港から現地に出発すると発表しました。派遣される11次隊は、350人の態勢で、先発隊は約130人、残りの主力隊員は11月30日と12月14日に分けて、青森空港を出発します。この中には、青森県だけでなく、岩手県・秋田県の部隊も入っております。戦前、日本軍の中で強力な部隊を構成していたのは東北農村出身の農家の二三男だったことが知られています。時代は異なるとはいえ、今回の青森を中心とする南スーダンへの派遣は戦前の悪夢を思い出させるのではないでしょうか。

■新任務により、自衛隊が戦闘に巻き込まれて隊員の命が危険にさらされるおそれが増大し、相手を殺傷する側に立つ可能性も現実化します。戦後初めて日本人が海外の戦場で殺し、殺される事態が現実のものになろうとしています。

■私たちは、昨年9月19日、安全保障法制=私たちからすれば戦争法制と言えるものですが、安倍内閣は、憲法を守らなければならない立場を遵守せず、また9割を超える憲法学者が「違憲」であると言明しているのにも拘わらず、憲法の「解釈」変更、いわゆる「解釈改憲」を行いました。日本が攻撃されてなくても他国を防衛出来るとして「集団的自衛権」の内容を変え、「駆けつけ警護」「宿営地の共同防衛」ができるように自衛隊の活動範囲を変貌させました。

■このことは戦後70年間、第二次大戦の悲惨な反省から平和憲法第9条を有し、「殺し、殺されることのなかった」この国のあり方を根本的に変質させようとしているものの何ものでもありません。国民の中には自衛隊のあり方に関しては多様な考えがあるのは事実です。しかし、私たちは「誰の子どもも殺してはならない」と思います。それ故、今日の集会の基調は「命を守れ」となっています。私の大学時代の教え子にも就職の氷河期にやむなく海上自衛隊に入った卒業生がいます。「教え子を再び戦場に送」っては行けません。派遣される自衛隊員、また現地の人々のいのちが奪われることを一番危惧しております。

■安倍首相は、安保法制成立後、国民に「丁寧に説明する」と言いましたが、一度もそのような説明をしたことはありません。それどころか先の7月の参議院選挙においては、憲法改正、安保法制のことについては選挙の争点として出さなかったにもかかわらず、参議院おいても、与党は憲法改正に必要な三分の二を得たことから、憲法改正の国民投票を画策しつつあります。

■しかし、国民の多くは安倍首相のこの危険な「国民だまし」とも言うべき悪政をどのように見ているでしょうか。昨日29日の共同通信社の「憲法公布70年 世論調査」によれば、7月の参院選で改憲が争点だったかどうかに関し「そう思わない」は71%。「そう思う」は27%でした。9条改正は「必要ない」が49%で、「必要」の45%より多く、また、安倍晋相の下での改憲に55%が反対し、賛成の42%を上回っています。

■このことは、安倍政権下での改憲には反対論が根強い現状が鮮明であり、9条改正については安倍首相に対して強い警戒感があるというのが国民の実感です。そして、改憲に賛同する勢力が衆参両院で発議に必要な3分の2以上の議席を占めたことに関し、「良くない」は51%、「良い」は46%でした。国民の多くは安倍政権のもとでの前のめりの「憲法改正」に対して厳しい目でみているのです。

■さらに安倍政権の暴走は留まることを知りません。それらを挙げだしたら幾ら時間があっても足りなくなります。大規模自然災害やテロ対策を口実にした緊急事態条項を含む憲法改正、沖縄辺野古・高江での住民の意思を無視した強権的な基地強化、福島原発事故を未解明にしたままの原発の再稼働、年金の株式投資による損失、医療・教育・福祉政策の貧困などなどです。

■さらに現在、国会で審議中のTPPに関してはアメリカを含めて参加国の批准は不透明なのにもかかわらず、国会で十分な審議をしないまま、わが国が先頭を切って承認に動いています。また、27日、国連において「核兵器禁止条約」制定への交渉を定めた決議が可決されましたが、日本政府はこれに「反対」しました。広島・長崎、またビキニ水爆被害を受けたわが国が核兵器禁止に賛成しないことは本当に情けなく、恥ずべき態度と言わざるを得ません。

■安倍政治は、このように立憲主義・民主主義・平和主義を破壊し、独裁的政治を進めています。さらに自民党は総裁任期の延長をはかり、安倍政治の継続を画策しています。しかし、私たちはこれ以上、安倍政権の継続を許すわけにはいきません。

■とはいえ、私たちは負けてはいません。この政治の転換のためには先の参議院議員選挙の32選挙区において「市民+野党の共闘」が行われ、この青森選挙区を含め11の選挙区、特に東北では6県の内、5県で勝利することができました。市民と野党がしっかりと共闘すれば「政治は変えられる」ことを示しています。予想される総選挙において先の参議院選挙と同様の野党共闘が実現すれば、与党議席の大幅減少が可能です。

■私たちは安保法制の全面的な発動と「殺し、殺される」ことが現実となる南スーダンへの戦場への自衛隊員派遣に反対することをすべての国民・市民に「命を守れ」と呼びかけます。

■私たちは今後とも各界各層との共同行動を重視し、日本国憲法の国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を守り発展させることを、誓います。

■集会参加者の皆さん、お寒い中、ご苦労様でした。以上

 

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