【連帯・社会像】

星英雄:国民のみなさん、沖縄に犠牲を強いるのはもうやめにしませんか

 沖縄の日米両政府に対する新たな闘いがはじまります。最高裁は福岡高裁那覇支部の判決を是認し、翁長沖縄県知事の埋め立て承認取り消しを違法としました。安倍政権は近く埋め立て本体工事を再開する見通しです。命と暮らしを脅かされている沖縄県民の悲痛な叫びに耳を傾けてください。国民のみなさん、日米同盟の名で沖縄に米軍基地を押し付けるのは、もうやめませんか。

 最高裁第二小法廷(鬼丸かおる裁判長)は20日、安倍政権の辺野古新基地建設にゴーサインを出しました。名護市辺野古の新基地建設を巡り、仲井真前知事の埋め立て承認を取り消した翁長知事を国が訴えた訴訟の上告審判決です。沖縄県の上告を退け、裁判の上では敗訴が確定したことになります。

 さすがに最高裁は、福岡高裁那覇支部判決のように、日米安保・日米同盟をむき出しに肯定はしませんでしたが、司法が安倍政権という政治権力に追随したことに変わりはありません。

 最高裁が是認した高裁判決に対しては、国と地方自治体は対等・協力関係にあるとした地方自治法を理解していないなど学者らがその誤りを根本から批判しています。12月10日、辺野古新基地建設を許さない東京・日比谷野外音楽堂の集会での、武田真一郎成蹊大学教授の訴えもその1つです。

 武田教授は、次のように批判しました。「この(高裁)判決は、本当は翁長知事の埋立承認取消が違法かどうかを審査しなけれぱいけないはずだったが、仲井真前知事の埋立承認が違法かどうかを審査した」「もし翁長知事の承認取り消しを審査したら、結論は逆になっていた可能性が非常に高い」

 福岡高裁は意図的に審査の対象をすり替えたために結論が逆になった、という批判です。最高裁はその福岡高裁判決を追認したのです。

 「環境保全」は世界の潮流、常識です。埋め立て予定の海域は、ジュゴンやサンゴなど貴重な生物の生息地です。地元名護の人が「まるで竜宮城だ」と賞賛する素晴らしい海です。ところが最高裁は「環境保全」の思想は持ち合わせていないことも明らかになりました。

 沖縄にとってはオスプレイの飛行再開も、命と暮らしの脅威です。名護市の浅瀬に墜落したオスプレイはあわや大惨事になるところでした。そのオスプレイが沖縄の空をほしいままに飛び回っています。安倍政権は欠陥機オスプレイ墜落の原因究明もないまま、安全の保証もないまま、米軍のいいなりでオスプレイの飛行再開を認めました。日米同盟強化の言葉で米国に追随する安倍政権の姿勢が、米軍を増長させていることも間違いありません。

 日本は沖縄にどれだけ犠牲を強いてきたのでしょうか。

 「沖縄ではどの家族もみんな遺族です」と、宮城篤実・元嘉手納町長はいいました。「本土防衛の捨て石」にされ、県民の4人に1人が命を失った沖縄戦以来、米軍統治の時代も、日本国憲法の日本に復帰してから今日に至るもなお、沖縄の人々は命と暮らしを脅かされ続けています。元米海兵隊員による20代の女性暴行・殺人事件も、あわや大惨事のオスプレイ墜落事故も、「基地あるがゆえ」です。沖縄では米軍基地撤去を求める声が次第に大きくなってきています。

 沖縄ならば、米兵や米軍機におびえて暮らすことは当たり前なのでしょうか。いや、国民(沖縄県民)の命と人権をないがしろにしなければ成り立たない同盟関係こそ、裁かれなければらないのではありませんか。

 沖縄の翁長知事と県民の、辺野古新基地建設阻止の信念は不動です。そして、沖縄の問題は日本という国のあり方の問題、つまり主権者国民の問題です。決して他人事ではありません。沖縄の声に耳をすませてください。主権者である国民が「沖縄に新基地はいらない」といえば、沖縄も日本も変えることができるのです。

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