アメリカで活動するジャーナリストが質問した。「東京は世界ナンバー・ワンの都市なので、どういう都市になるのかとよく聞かれる。世界に発信できるリーダーとして東京都をどういう都市にしたいのか」
宇都宮けんじ氏の発言は明快だった。「わたしのスローガンは、人にやさしい東京だ。東京に住んでいる人が住んでてよかったと思える町が世界的に見ても輝いて評価される町になる。ニューヨークと比較して高い建物とかはどこにでもある。そこに住んでる人、とくに中間層、低所得層が人間らしい生活を送っているかどうかがその都市のブランドだ。ブランド力はそこに住んでる人の幸せ度であったり、自分らしい生活ができているか、だと思う。高い建物があっても路上生活者がいる東京は魅力的ではない」
一方、中松義郎氏は「教育がすべてのもとだ」と発言。松沢しげふみ氏は、「東京は文化が弱いので江戸城の天守閣を復興したい」と語った。
石原慎太郎前都知事の継承を掲げる猪瀬直樹氏はこういった。「都市への電力供給をどう完全にやるか、これが福島の事故のあと問われている」、「一人ひとりの都民が輝く東京都にしたい」。
「フクシマ」後に問われているのは原発ゼロを実現することである。「一人ひとりの都民が輝く」というが、そのために必要な政策を猪瀬氏が示すことはなかった。石原都政が、そして猪瀬副知事がやってきたことは「一人ひとりの都民が輝く」こととは逆のことだったのだ。
貧困・格差とたたかい、人間にたいする深い思いやりに基づく「東京ビジョン」を語った宇都宮氏。語るべきビジョンを持ち合わせない他の候補者たち。11月25日、自由報道協会(上杉隆代表理事)主催の東京都知事候補・予定者合同討論記者会見はだれが世界都市東京の知事にふさわしいか、明らかにしてくれた。(笹川尭氏は石原前都知事批判などをした後、早々に退席した)