衆議院が解散された。安倍政権が憲法を踏みにじり、主権者国民をないがしろにし、ほしいままに政治を私物化してきた挙句の「大義なき解散」である。安倍・自公政治への厳しい審判は当然だ。小池・希望の党は安倍政治批判の受け皿なのか。「ノー」だ。私たち市民は、安保法制(戦争法)廃止、立憲主義の回復を求めて運動に取り組んできた。今回総選挙の判断基準もそこにあると考える。
安倍政治に対してはさまざまな批判があるが、平然と憲法を無視、立憲主義に反する政治が安倍政治の特徴だ。憲法違反・集団的自衛権行使の安保法制を強行したことはその象徴でもある。
野党が求めた臨時国会での冒頭解散は、森友・加計疑惑にふたをすることにほかならないが、それは同時に、憲法問題だ。日本国憲法53条は「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」としている。憲法上の要求である臨時国会の召集をさんざん遅らせて、果ては問答無用と国会での議論なしの解散だ。でたらめなやりたい放題を許してはならない。
森友・加計疑惑の解明を阻むために、安倍政権は昭恵夫人らの証人喚問を拒み、公文書を隠蔽するなどしてきた。国民の知る権利も公文書管理法も、憲法が定める国民主権を実質化するためのものだ。主権者国民の求めに、政権・行政府が説明責任をはたすのは当然至極のことだが、逆に、安倍政権は憲法の基本原理、国民主権に挑戦し、疑惑解明を阻んだのだ。
沖縄の民意を踏みにじり、憲法の平和主義、基本的人権の保障を踏みにじって、辺野古新基地建設をごり押ししてきたことも許すわけにはいかない。
安倍首相が「国難」という北朝鮮核問題。私たち国民にとって、命が脅かされること以上の国難はない。核戦争になりかねない米朝間の応酬を止め、平和的解決に力を尽くすことが政府のなすべきことではないか。しかし安倍首相は、「北朝鮮を壊滅」させるというトランプ米大統領に追随するばかりで、平和・外交による解決を主張しない。それどころか、憲法違反の安保法制(戦争法)に基づいて強硬姿勢のアメリカを軍事支援することが解決の道であるかのように振る舞っている。安倍首相は核兵器の信奉者でもある。
アメリカに一喝されて急いだ憲法違反の安保法制<星英雄:辺野古新基地建設と日米同盟(投稿日:2017年9月1日)参照>、辺野古新基地建設、北朝鮮核問題への対応、いずれも安倍政権がアメリカの核兵器にすがりつく日米同盟が根底にある。
これまで曲がりなりにも、市民に押されて「野党共闘」に取り組んできた民進党は、小池・希望の党に無残にも吸収される事態が展開している。
希望の党は、安倍政権打倒の受け皿足り得るのか。代表の小池百合子・東京都知事は自民党衆院議員として安保法制(戦争法)に賛成した。改憲論者、核武装論者としても知れ渡っている。希望の党の候補者となるためには、憲法と日米同盟への対応が判断基準だと公言している。希望の党は自民党の亜流にほかならない。自民党と組んで改憲3分の2勢力になる恐れもある。
東京電力福島第1原発事故以降、全国津々浦々に広がってきた市民運動は原発再稼働に反対し、辺野古新基地建設に反対することが大きな柱となっている。日本国憲法の基本理念「個人の尊厳」の実現をめざすこの道を、主権者である私たちは進みたいと思う。