【連帯・社会像】

星英雄:これこそが国難だ 沖縄米軍基地を安倍首相はどう解決するのか

 沖縄県東村高江の民有地で米軍普天間基地所属のCH53E大型輸送ヘリが炎上した。米軍によって人命が常に脅かされている沖縄。沖縄は怒りと抗議の声が渦巻く。翁長沖縄県知事は「これこそ国難」と政府を批判した。安倍首相はこの国難にきちんと向き合うつもりがあるのか。

 ヘリが炎上した現場は民家からわずか300メートル、小学校までは2キロメートルの至近距離。大惨事になる寸前だった。

 高江の集落を取り囲むようにして巨大な米軍基地、北部訓練場がある。そこに、住民の反対を押し切って、6カ所のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)が建設された。墜落や事故が絶えないあのオスプレイやヘリが飛び交って、騒音と墜落の危険性に住民は不安を募らせていた。それが現実となったのだ。

<炎上した米軍普天間飛行場所属のCH53ヘリ=12日午前8時53分ごろ(琉球新報電子版から)>

 

 現場を視察した翁長知事はこういった。「悲しい、悔しい、そして怒り。このような状況は国に沖縄県が強いられているという意味ではまさしく国難だ」

 安倍首相が「国難突破解散」といって身勝手な解散劇を断行したことを念頭に、沖縄県民の命が日常的に危険にさらされていることこそ国難だ、と政府を告発したのだ。

 現場は基地の外の民有地だが、米軍が二重の規制線を張って仕切っている。「翁長知事が視察できたのも外周の内側まで。内周線の内側には入れない」(沖縄県基地対策課)という。

 小野寺防衛大臣は在日米軍のシュローティ副司令官との間で、日本側が安全を確認するまで同型機の飛行停止に合意したと明言したが、在沖海兵隊はたった4日間の飛行停止を宣言した。

 米軍機の事故の原因究明も、再発防止策も、すべてはアメリカの意のままである。米軍機事故がどれほど繰り返されても、事態は変わらずにきた。国難は、歴代政権と安倍政権の対米弱腰によってもたらされている、と言って過言ではない。

 戦後、米軍の占領支配から今日までずっと、米軍基地があるために沖縄ではつねに人命が危険にさらされてきた。昨年は、20歳の女性が米軍属に暴行され、殺された。米軍機による事故は日常的に繰り返される。

 さかのぼっていくつかの事例を示せば、児童を含む17人が死亡した1959年の宮森小学校ジェット機墜落。2004年には、沖縄国際大学に今回と同型機のヘリが墜落した。昨年12月には、オスプレイが名護市安部沖に墜落した。この時も、わずか6日後に米軍は飛行を再開したが、菅官房長官は記者会見でそれを認めたのだった。

 安倍首相も米軍も謝罪の言葉1つない。安倍政権は沖縄の米軍基地問題の解決に取り組むつもりがあるのか。

 安倍政権は北朝鮮の脅威をあおることには熱心だ。それを口実に「国難突破解散」に打って出た。

 日本の領空のはるか上空を飛んでいく北朝鮮のミサイルが領土に落下することはない。しかし、その都度Jアラートを鳴らし、国民に「北の脅威」をあおってきたのが安倍政権だ。

 安倍首相は忠誠を誓うが、世界から危険視され孤立しているのがトランプ米大統領だ。国連演説で北朝鮮を「完全に破壊する」と威したが、ドイツのメルケル首相はこう反論した。「私たちはいかなる種類の軍事的解決も絶対にふさわしくないと考えており、外交的努力に力をつくす」。これこそが世界の大勢だ。

 米政権内でもトランプ大統領は必ずしも支持されていない。北朝鮮との交渉を探っているティラーソン国務長官がトランプ大統領を「バカ」呼ばわりしたことが米メディアによって報じられている。それなのに、アメリカの核兵器を頼りに、トランプ大統領と一緒になって北朝鮮を脅しているのが安倍首相なのだ。

 安倍首相は日米同盟が国民を守るというが、事態はまるで逆だ。北朝鮮はアメリカに攻撃された場合、在日米軍基地を攻撃して反撃すると言っている。安倍首相・日米同盟が国難を呼び寄せる構図だ。

 安倍首相よ。まずは、いまここにある国難をどう突破するのか。沖縄の米軍基地をどう解決するのか示してほしい。首相は国民に説明する義務がある。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)