【連帯・社会像】

星英雄:めざすべき社会像を掲げて、この道を行こう 総選挙が終わって思うこと

 安倍・自公政権に審判を下すという総選挙は、自公が議席の3分の2を獲得し、安倍首相が続投する結果となった。希望の党などを加えた改憲勢力が国会で圧倒的な優勢となり、改憲問題が現実課題として浮上することは避けがたい。東京電力福島第1原発事故を契機に、全国で広がった原発ノー、辺野古新基地建設ノーの市民運動こそ自民党政治に取って代わる新しい政治の原動力だ、とあらためて思う。

 今回の選挙結果について韓国のハンギョレ新聞(日本語版)は、<野党の分裂と「北朝鮮脅威論」に乗って(与党が)圧勝を収めた>と報じた。私も見方を同じくする。

 北朝鮮問題については、すでに掲載済みの3つの記事<星英雄:北朝鮮の核問題について考える 、星英雄:日本を戦場にするなと言えない安倍首相 北朝鮮核問題と日米同盟 、星英雄:安倍首相はトランプ米大統領のポチなのか 憲法9条こそ総選挙の争点だ>を読んでいただきたい。

 連日のように、テレビを中心に「北朝鮮脅威論」が振りまかれていること自体、他の国には見られない日本に特異な現象だといわれている。そのうえ、憲法違反の安保関連法に基づいて自衛隊が対北朝鮮作戦に従事する米軍艦船に給油しているのに、共産党以外の政党も、市民運動も、残念ながら反応は鈍かった。

 自公の大勝の要因は、野党側が1つにまとまれなかったことにある、というのは国内でも共通の見方だ。

 選挙直前は、安倍首相が勝敗ラインを「「与党で過半数の233議席」に設定したように、安倍首相批判は強く与党に逆風となっていた。朝日新聞世論調査では、51%が安倍首相の続投を望まない、とあった。総じて、有権者は安倍首相の傲慢、身勝手な振る舞いにノー、という中での選挙だったのだ。

 その選挙情勢を変え、自民党を勢いづかせたのが、希望の党=民進党の解党だった。曲がりなりにも成立してきた野党共闘をつぶした元凶といえる。

 しかし希望の党は、日を追うごとに有権者の期待が小さくなっていった。小池代表の「排除の論理」が嫌われたというのもうなずける。端的に言えば、「憲法、安全保障」で自民党と変わらないという第2自民党的体質が見抜かれたのだと思う。

 自民党と似たり寄ったりでは、受け皿にはなれないことが明らかになった意味は小さくない。前原氏、小池氏は、実質的に政治生命は終わったとみていいだろう。日本の政界において、旗を掲げることはもうできない。

 立憲民主党は、躍進したといってもわずか50台半ばの議席に過ぎない。野党第1党が、集団的自衛権行使を認めない、そのための憲法改悪に反対するとの立場に立っていることは重要だが、政策的にはまだあいまいなものもある。たとえば、沖縄の辺野古新基地建設問題だ。

 米軍の大型ヘリが高江で炎上した翌日の那覇市で、枝野代表は辺野古新基地建設についてこう訴えた。「沖縄の皆さんに寄り添った形で解決できる道を、私たちはもう1度、ゼロから模索します」

 翁長県知事が「これこそ国難だ」と言った意味をかみしめて、辺野古新基地建設反対を明確にしてほしい。

 議席が半減した共産党には、真摯な自己分析を求めたい。なぜ、歴史的総選挙で後退したのか、受け皿になれなかったのか。都合の悪いことは外部のせいにする悪癖と決別し、自身を見つめ直さないと将来はない。

 今回の総選挙は国の行方を決める選挙だ、と言われた。最終的に、国の形を決めるのは憲法だ。憲法の中身を決めるのは主権者・国民だ。

 憲法に自衛隊を明記すると公約した自民党を含め改憲勢力が大勝し、安倍首相は国会での発議の機会をうかがうだろうが、道筋は単純ではない。国民は世論調査をみてもなお、憲法9条の改正には慎重だ。今回選出された多くの衆院議員らとは明らかに意識のかい離がある。

 安倍首相は「北朝鮮脅威論」を改憲に利用するだろう。一方、護憲派勢力には、憲法と安全保障政策が連動することを軽視している節がみえる。

 今回の選挙で、北朝鮮、沖縄の2つの大きな問題が浮上した。どちらも、国民の生命・安全に密接に関連する安全保障政策の問題だ。これに向き合わずに9条問題を論じても、説得力はあまりない。

 決めるのは主権者・国民だ。原発事故をきっかけに全国に広がった市民運動は「野党共闘」を実現するなど、日本社会を変革する確かな存在感を発揮してきた。この力なくして、立憲民主党の結成も、共産党が野党共闘に転身することもなかっただろう。

 日本国憲法は、国民主権の下、戦争放棄、戦力不保持、 基本的人権、地方自治などをうたっているが、まだまだ遠い。憲法違反の安保関連法の廃止を求める新しい市民運動、総がかり行動は、辺野古新基地建設反対が柱の1つになっている。原発のない社会、せめて辺野古新基地建設は許さない社会、そんな当面の目指すべき社会像を掲げて進みたい。それが、憲法9条改悪を阻む力ともなると思う。

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