【沖縄とともに】

星英雄:抗議船から護岸工事の現場をみた〈2017沖縄レポート⑥〉

 11月8日、辺野古の抗議船・平和丸に乗せてもらって護岸工事の実態をみた。大浦湾から辺野古崎にかけて、護岸工事が強行されている。安倍政権・国家権力の横暴に無性に腹が立つ。
 

 午前7:30、集合場所の辺野古第2テントでミーティングが始まった。抗議船やカヌーに乗る人たちが、集まった。工事状況や注意事項が話された。
 
 平和丸船長の仲本興真さんの車で、汀間漁港に向かう。仲本さんらが、陸地に係留されている抗議船を車でけん引し、海に浮かべた。
 
 午前8:40、平和丸は汀間漁港を出港した。仲本船長以下、地元の琉球新報、沖縄タイムスの記者、東京の女子学生ら私を含めて総員6人。
 
 出港してまもなく、遠く右手に広がる広大な米軍基地・キャンプシュワブの丘に白っぽい建物が見えた。「あれが弾薬庫です」との声。
 沖縄に数々の米軍基地はあるが、弾薬庫があるのはここシュワブと嘉手納基地だけだ。かつては核兵器が貯蔵されていると指摘され、いまもその疑惑がつきまとう。米軍普天間基地にはなくシュワブに弾薬庫があることが、辺野古に新基地を造る理由の1つだ、といわれている。
 
 今日は晴れてはいるが、波は大きい。船体がふわーっと浮いて、ガッツンとたたきつけられる。座って船の縁にしがみついているが、かなり響く。

砕石置き場

 右手に工事作業ヤードなどをみながら、K1の現場についた。ここは6日から工事を始めた最も新しい護岸工事の現場だ。平和丸はここで錨を降ろし、しばらくの間、工事を監視する。
 
 浜辺では、これから水中訓練に行く様子の米兵たちがたむろしている。米軍基地として占拠されているこの浜辺から50メートル以内に近づけば、撃ち殺されても文句は言えないことになっているという。ここはどこだ。まさに、占領支配下にある沖縄・日本なのだ。
 大型ダンプが数分間隔で次々と砕石を運んでくる。荷台を跳ね上げて、待ち構える網の中に砕石を落とす。砕石の入った網をクレーンで吊るし、くるりと回転して、網を開いて砕石を落とす。粉塵が上がる。一部はそのまま海に転がり落ちてしぶきをあげる。残ったほとんどの砕石を、大型のショベルカーが叩いてならしていく。こうして護岸工事は進められている。
 仲本船長が、工事関係者や米軍に向かって抗議した。抗議船のスピーカーが響き渡った。
 沖縄の宝の海を埋め立てるな。子どもや孫の代にまで負の遺産・米軍基地を残すことに手を貸すことはやめよう。米軍基地は戦争と犯罪の温床だ。
 砕石投下を直ちにやめろ、美ら海(ちゅらうみ)を汚すな、違法工事をやめろ。
 米軍は出て行け!・・・

果敢に抗議するカヌー

 汀間漁港に戻る途中、シュワブ岩周辺の浅瀬がジュゴンの餌場となっている、と聞かされた。このあたりはまた、400年という気が遠くなるような時間を生き抜いてきたハマサンゴが棲息する海域だとも説明された。
 
 抗議船が汀間漁港に戻ったのはまもなく正午になるころだった。わずかな時間だったが、護岸工事の現場を見て思いを新たにした。13日から、砕石を海上からも輸送するという。
 
 この豊かな自然を破壊する新基地建設を許してはならない。自国民の生命・人権を踏みにじってまでもアメリカに基地を建設して提供するという安倍政権を許してはならない。この暴挙を止めることができるのは、1人1人の国民、主権者の怒りである。
 

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