【沖縄とともに】

星英雄:敵は安倍・自公政権だ〈2017沖縄レポート⑦〉

 辺野古新基地建設の埋め立て用石材を海上輸送する業者に、沖縄県が港湾の使用を許可したことが問題になっている。県が許可したことは理解しがたいが、現場と知事サイドが連携を密にして闘わないと、辺野古新基地建設反対闘争の先行きに明かりは見えない。敵は安倍・自公政権だ。

 沖縄・辺野古では連日、キャンプ・シュワブ米軍基地内に大型ダンプで石材が運び込まれ、違法な護岸工事が強行されている。

 その工事を少しでも遅らせ、断念に追い込みたいと、沖縄の人々と「本土」から駆けつけた人々がキャンプ・シュワブの入り口で座り込みをつづけている。護岸工事から本格的埋め立てに進めば、取り返しがつかなくなる。そんな危機感が現場には強い。そのさなかのことなのだ。

 座り込みは工事の進捗を確実に遅らせている。だから、船での石材輸送は、座り込みに妨げられることなく、ダンプに比べはるかに大量の石材を、運ぼうという狙いが込められている。県の許可はそれに手を貸した形になっているのだから、現場の怒りは当然だ。

 山城博治・基地の県内移設に反対する県民会議共同代表は「知事はあらゆる手段で新基地に反対すると言っていたが、現状は公約違反、言行不一致だ」と厳しく批判した。翁長知事も「公約違反ではないかというのも当然率直な気持ち」と、批判を受け止める姿勢を見せた。

 だが、業者は6月下旬に許可申請、県は9月上旬に使用許可した。地元紙の報道を通して座り込みの現場の人々が事態を知ったのは11月はじめ。翁長知事は10月2日に行政指導の文書を沖縄防衛局に出したというが、なぜ業者の許可申請のときに出さなかったのか。現場には疑問が残る。

 知事サイドと現場のかい離は、撤回問題にも現れている。早期の撤回を求める現場と、撤回はするが、時期は自分にまかせてほしいという翁長知事。

 難しい問題もある。前知事の埋め立て承認の撤回は、翁長知事の最後の手段といわれる。しかし、撤回で工事を止めることができるのは半年程度とみられている。2016年12月、翁長知事が最高裁で敗訴したことからも、司法の場で政府に勝てる保証はない。
 
 翁長知事が、辺野古新基地建設反対から容認に転じるとみるものはいない。しかし、安倍政権の強権を発動した違法工事の推進に、座り込みの現場には閉塞感が漂う。

 この間、県政与党は何をしていたのか。沖縄に行くたびに聞かされるのは、県政与党(社民党、共産党、社会大衆党など)に対する現場の不満・批判だ。もう少し、現場と知事の間で風通しを良くしてほしいという。新基地建設問題を与党の県会議員は「知事に丸投げしている」という厳しい批判は根強くある。

 社民党の照屋大河県会議員はこう話した。「現場は、巨大な権力を相手に疲弊感もある。われわれは緊張感をもって現場と連携を強めたい。現場の声を知事サイドに伝えるのも社民党の仕事だと思う」
 「5分だけ」と短時間応じた共産党の渡久地修県会議員はこう話した。「撤回しても裁判で負けたら意味がない。そのための事実の積み重ねを知事サイドは研究している。知事を信じてやっている」

 新崎盛暉・沖縄大学名誉教授はかつて「連帯・共同21」の取材に、新基地建設反対の民衆運動の力が翁長知事らを誕生させたと話している。〈新崎盛暉:沖縄の民衆運動が新しい時代を切り拓く(2015年2月19日投稿)〉

 辺野古新基地建設反対闘争は20年前、辺野古の浜でのおじぃ、おばぁの座り込みからはじまった。国家権力を相手に、ひるまない、あきらめない民衆の闘いは他に例をみない。

 翁長知事夫人は、知事のこんな言葉を紹介したことがある。「もし万策尽きたら、その時は2人で座り込もうな」

 翁長知事は闘う姿勢を堅持し、現場を鼓舞する知事であってほしい。

 現場の民衆の座り込みは、全国各地の市民の闘いを勇気づけている。各種世論調査をみても、総選挙では与党が圧勝したが、安倍・自公政権もかつてほど強くはない。「本土」のわれわれは「本土」の人々に働きかけ、世論を変える闘いをしよう。結局は国民世論だ。

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