12月2日東京お茶の水で、―「沖縄と核」から考える日米関係と憲法9条―をテーマに、東京法律事務所9条の会主催の講演会が開かれました。講師は太田昌克さん(共同通信編集員・論説委員、著書『偽装の核被爆国』(岩波)他)、今理織さん(こんみちおり、NHKディレクター、今年9月10日放映の『NHKスペシャル沖縄と核』を制作)のお二方。
=今理織さん=
今年の9月まで沖縄に勤務。この作品は本土の人に見てほしい。米軍―海兵隊は1950年代半ばに沖縄へやってきた。なぜかを探ると。1954年3月米はビキニで大規模な水爆実験を行い、第5福竜丸他多数の日本のマグロ漁船が被爆し、反原発の世論が巻き起こり、3000万を超す署名が集まった。
それに米国は危機感を持ったこと。朝鮮戦争での莫大な出費、中ソの実力を思い知り、アイゼンハワー大統領は核を使って戦力差を埋めることにした。開発されたのが「戦術核」、大砲から撃つことが出来る。実際ネバタ砂漠では戦術核砲弾を撃った後、兵士が突入する訓練をした。アトミックソルジャーと呼ばれた。沖縄伊江島では銃とブルトーザーで強制接収された演習場に、ダーツの的のようなものが出来、爆撃機から「戦術核」を投下する訓練が行われた。
もう一つ重要なことは、1954年7月の自衛隊の発足である。軍隊が出来れば基地が必要になり、米軍が沖縄に移動した後の基地を自衛隊が引き継いだ。返還前には沖縄には1000~1300発の核があった。2015年米国防相が公表した文章にも核を認めている。沖縄県が番組放映後外務省に核があるのかと問い合わせた。外務省の答「現時点ではない。復帰以前の核装備については承知していない」。
「9条の意味」-沖縄には憲法は適用されてこなかった。本土で憲法を守るといっても、それを担保してきたのは沖縄ではないか。沖縄の人達には違和感がある。護憲派がどれだけそれに向き合ってきたのか。先日沖縄県議会で全会一致の「普天間基地の国外、県外移設を求める」決議が採択された。日米安保条約、米軍基地はいらないと主張する護憲派これにどう答えるのか。*『沖縄と核』は12月17日NHKBS1で100分番組で放送されます。
=太田昌克さん=
12月10日オスロでノーベル平和賞の授賞式が行われるが、核保有国の大使は欠席という。各兵器禁止条約、日本は署名も交渉にも参加しなかった。米国の圧力「同盟国は参加してはいけない」と、これはオバマ時代からの政策である。日本は反対票を投じた。
今まで日本は米国と共同で核廃絶案を提案してきたが2015年米国は賛同しなかった。日本は驚いて2016年他国の案には反対することを表明して米の賛同を得た。外務省は米との同盟が何よりも大事。米の原潜は常時10~12隻、50発のトライデント(核ミサイル)を積んでいる、がオペレーションの状態になっている。
今年2月の日米共同声明にのっけから核が出てくる。2回目で1回目は1978年三木・フォード声明で、「米の核は日本の防衛上必要であると」と発表された。「核抑止力」を盛り込んだのは安倍の方からであった。オバマは昨年広島から帰ってから、「核先制不使用」について提案したが閣僚に否定された。ケリー国防長官「それはいいことだが、同盟国を説得するのは難しい。特に日本を」と発言したという。
日本政府、外務官僚は「とんでもない」と、特にエリート外務官僚は「核抑止力」信奉者である。8月22日米軍は日本上空を通り朝鮮半島に、核爆弾登載可能なB52爆撃機を飛ばした。航空自衛隊のF15戦闘機2機が護衛にあたった。「安保法」成立を受けた、集団的自衛権の行使である。北朝鮮情勢だが、いま韓国に邦人が6~7万人、米国人は20万人いるという。その退避計画が出来ていないので、武力行使は今のところ?米国は北朝鮮に対し、抑え込み金正恩に白旗を上げさせ米朝会談に持ち込もうとしている。
来年の年頭で金正恩は北朝鮮は核大国と宣言し、米本土近くまでミサイルを飛ばし、あるいは宇宙空間にミサイルを打ち上げ核爆発を行うかもしれない。安倍は「(核の)傘は何重にも必要」と言っている。沖縄嘉手納基地は、今も核配備可能な状態になっている。安倍政権と民意とのねじれを(9条、原発等の)どう解消するのか、日本の民主主義は岐路に立っている。