【連帯・社会像】

岡本敏則:パレスチナの集いに参加して

12月9日東京中野で日本AALA(アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会)主催の「パレスチナの集い」が開かれました。トランプ大統領の「エルサレムをイスラエルの首都に」の声明直後という現実感のあるものでした。講師はフリー・ジャーナリストで映像作家でもある土井敏邦さん。パレスチナの専門家です。

土井さんの話は、以下のようなものでした。
―トランプ声明について―
エルサレムをイスラエルの首都とする声明は、国内の支持者向けであろう。娘婿はユダヤ人で、反対したという。トランプ第一主義という事だろう。米国はイスラエルロビーが巨大な力を持っている。ユダヤ人は600万人いるといわれているが団結力が強い。A国会議員がイスラエル批判を言えば、次の選挙では対立候補に莫大な援助をして、そのAを落としてしまう。だから何も言えなくなる。アラブ系も600万人いるがバラバラである。

英・独・仏はトランプ声明を批判したが日本は米国の属国だから、何も言えない。エジプトも米国から年間13億ドルの軍事援助を貰っているから何も言えない。ただし政府と民衆は違う。民衆の怒りが大きなうねりとなれば、エジプト政府はつぶれるだろう。

―オスロ合意について―
1993年8月20日ノルウエーのオスロで調印された、イスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)との協定。正式には「暫定自治政府原則の宣言」。2006年7月イスラエルによるガザ地区・レバノンへの侵攻により事実上崩壊とアラブ連盟は見ている。

オスロ合意はヨルダン川西岸をA地区(パレスチナは行政権と治安権を持つ)、B地区(農村で行政権は持つが治安権はイスラエル)、C地区(行政、治安権をイスラエルが持つ)。C地区が全他の60%を占める。イスラエルの占領地区だ。水源を確保し壁を作り、パレスチナ人地区を分断する。勢力を増しているイスラエル右派が狙っているのは、C地区を併合してパレスチナ国家をつくらせないことにある。

オスロ合意は双方に幻想を与えた。アラファトの腐敗、和平への幻滅でイスラエルにおいて左派が衰退していき、右派が支持を拡大してきた。

―エルサレム問題について―
エルサレムの人口比率はユダヤ人が72%、パレスチナ人が28%。1967年の第3次中東戦争時のこの比率を維持することがイスラエルの最大の目標。そのためにパレスチナ人の家を破壊し、入植者を増やしている。メディアはイスラエルの軍隊・警察とパレスチナ人の衝突、表面上の対立を「絵」になると報道するが、それはメディアの浅さである。占領という構造的な暴力を伝えていない。

―ホロコーストについてー
ナチスによるホロコーストを経験したユダヤ人国家イスラエルがなぜパレスチナの加害者になっているのか。イスラエル人の答―ホロコーストがどれだけ酷いものかあなたにはわかっていない。二度とあのような目に合わないためにも強い軍事力が必要。イスラエル人はホロコーストを言い訳にする。日本人だってノーモアヒロシマ、ノーモアナガサキというがその次にノーモアーナンキンとは言わないだろう。自分の痛みはわかっているが、他人の痛みをわかろうとしない。自分が可愛いのだ。

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