辺野古新基地建設の成否と名護市、沖縄県、そして日本の未来がかかった名護市長選挙が目前に迫ってきた。今月28日告示、2月4日投開票だ。「辺野古の海にも陸にも新しい基地は造らせない」との立場を貫く稲嶺進名護市長が勝てば、新基地建設はとん挫せざるをえない。
今回の市長選が激しさを増している理由の1つは、前回自主投票だった公明党が辺野古新基地建設推進候補の支持に回ったこと。さらに、新基地建設の成否を握る名護市長のポストを、政府・与党が総力で奪いにきているからに他ならない。
4年前の前回市長選では、安倍首相が3000億円もの沖縄振興予算を約束し、石破幹事長(当時)が500億円の基金構想を打ち上げるなど、むき出しの買収作戦が市民に不評だった。今回は、水面下で激しく動いている。昨年来、菅官房長官をはじめ、二階自民党幹事長ら政府・自民党の要職にある国会議員、地方議員らが続々と名護市入りした。
「辺野古の海にも陸にも新しい基地は造らせない」とする稲嶺市長は、勝って新基地建設問題に「終止符を打つ」と決意を表明した。この市長選は、11月の県知事選の行方をも左右する。
名護市長には新基地建設の成否を握る権限がある。安倍政権が新基地建設を遂行しようとしても、新基地建設に反対する市長がいる限り、建設は進まない。名護市長の権限はそれほど強い。
たとえば、美謝川(みじゃがわ)の水路変更だ。
辺野古ダムから大浦湾に流れ込んでいるのが美謝川だ。その美謝川の河口部は、まさに埋め立て予定工区にある。つまり、美謝川の水路を切替えなければ埋め立て工事を始めることはできない。
防衛省沖縄防衛局は、2014年4月、美謝川の水路切り替えにかかわる「法定外公共物占用等協議書」を名護市に提出したが、同年9月に自ら取り下げた。そして今日に至るまで、再提出はない。
名護市長に拒否されると工事そのものがとん挫するから、その前に取り下げ、再提出しないままなのだ。
名護市長の権限はほかにもあるし、翁長沖縄県知事には設計変更を承認しない権限など絶大な権限がある。
大型工事に設計変更はつきものだと言われる。実際、埋め立て用のケーソンの工事が先送りされている。近くには活断層があるから、設計変更はさけられないと土木関係者はみている。
翁長知事は、政府の埋め立て工事は計画の4%しか進んでいないという。安倍政権は、知事や市長の権限行使を回避して、工事はやりやすいところからやり、工事が進んでいるように見せかけて、県民をあきらめさせようとしているーーというのが、新基地建設に反対する人々の共通認識だ。
名護市長選で稲嶺進市長を勝たせることが、新基地建設阻止の必須条件だ。それが11月の沖縄県知事選で翁長雄志知事を勝たせることにつながる。新基地建設を阻止できれば、沖縄に犠牲を強いる理不尽な日本社会を変革する契機になる。稲嶺市長を支援しよう。