【沖縄とともに】

星英雄:「日米同盟」について考えてみよう

沖縄の民意にも、法の趣旨にも背いて安倍政権は辺野古新基地建設を強行するのか。石井国交大臣(公明党)が沖縄県の埋め立て承認撤回の効力停止の決定をしたことに、怒りが治まらない。

沖縄県が「辺野古ノー」の県民の意志を背景に、仲井真元知事の辺野古埋め立て承認を撤回したのは8月31日。安倍政権の違法な新基地建設工事が止まった。沖縄防衛局が石井国交相に審査請求及び執行停止の申立てをしたのは、玉城知事が史上最高の40万票の得票で圧勝した沖縄県知事選後の10月17日。沖縄県は24日に、国が行政不服審査制度を使って執行停止を求めることは「不適法」で、申し立てを却下するよう求める意見書を送付した。意見書は本文6ページ、別紙255ページという膨大なものである。

 これに対し、石井国交相が防衛局の求めるままに、効力停止を決定したのは30日。沖縄県の意見書をちゃんと読んで、検討したとは思えない。「結論先にありきだ」との批判は当然だ。

そもそも行政不服審査法は国民の権利利益を救済することが目的だ。国が申し立てるケースを想定していないと理解されている。公有水面埋立法は、私人には「免許」、国には「承認」と、明確に区別している。仲井真元知事の辺野古埋め立て承認は、私人に対してではなく、国に対して行われたのだ。そのことを行政法研究者110人の声明も厳しく批判している。「国民のための権利救済制度である行政不服審査制度を乱用するものであり、法治国家にもとるものといわざるを得ない」

沖縄防衛局が申し立て、石井国交相が撤回の効力停止を決めるとは、同じ穴のムジナ、安倍政権の仲間内で好き勝手にやったことだ。公正な判断を期待する方がおかしい。これが安倍政権のやり方なのだ。

さらに見過ごせないことがある。石井国交大臣は、沖縄県の埋め立て承認撤回に対し効力停止を決めた理由について「日米間の信頼関係や同盟関係等にも悪影響を及ぼしかねない」と語った。

では、「日米同盟関係」とはなにか。

敗戦時そのままに、日本国内に米軍基地があり、治外法権状態が続いていることなのか。敗戦後70年余を経てなお、1兆円以上の税金を投入して辺野古新基地をアメリカに提供することなのか。


沖縄を見れば明らかなように、命と人権を犠牲にすることなのか。そもそも自国民の命と人権を顧みない安全保障・日米同盟関係とは何か。このことこそ問い直されなければならないのではないか。

「本土」の人々は、主権者として「日米同盟関係」について考えてみよう。そのことが沖縄との連帯の第1歩になると思う。

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